今日はとっても低い空、

雨が今か今かと降り出す隙をうかがってるみたい。


待ちかねたように、学校の校庭に雨が降る。


小雨が降ってるかどうかを確認するのは。

校庭の緑が雨で濃くなってるかで判断するの。



誰も居ない学校の空に雷が鳴ってる。


それでもこの校舎が怖く見えないのは、

この学校が幸せな夢をみてるからかしら?


自分が通ってた学校の夜はとっても怖かったのに。


それは私が大人になったからかしら?

テレビや小説を見て、つくりものだからって鼻で笑うようになったから?


今は此処に居ない生徒さんたちは、

どんな大人になるんだろう。


もうすぐプール開き。

きっとまたあの沢山の黄色い声が聴こえるのね。


でも、生徒さんたちは、

こんなにひっそりとしてる校庭をきっと知らないでしょうね。


学校には関係ない私が、

一番綿密なはずの生徒さんたちが知らない、

誰も居ない校庭を静かに見てること。


それはなんか少しだけ悲しい気がするの。



人生には、鍵と扉があって。


いつだって、望む扉を開けられるわけじゃないけど、

望まない人の手の中に、とても大事な鍵が握られてたりする。


開いてしまった扉はなかなか閉じないしね。


人は人生で、何枚の扉を開くのかしら。


人は人生で、何人の人と知り合うのかしら。


何時だってこの学校を見てると、


まだ、なにものにもなってない子供たちを考えるの。

まだ、なににもなれなかった私を考えるの。


どれだけ幸せになっても、この子たちより幸せにはなれない気がするの。


悲しい気分で胸が一杯になるのは、

この冷たい雨のせいかしらね。


それでも、独りで流す涙よりは、暖かいわね。


そっと窓を閉じて、今日は帰る事にしますね。



明日また、笑い声が聞こえますように。