能登でも、アカガエル類(ニホンアカガエル、ヤマアカガエル)の産卵が始まっているようです。環境モニタリングサイト1000の調査として、珠洲市で毎年アカガエル類の産卵数をカウントしていますが、この場所では最も早い2月28日に産卵を確認しました。
私が案内を務める輪島親子昆虫クラブのメインの観察地である、輪島市石休場でも僅かですがアカガエル類の産卵を確認しました。まだ確認に行けていないのですが、金蔵集落でも産卵が始まっている頃でしょう。

先日観察したクロサンショウウオも、早い個体はそろそろ孵化が始まる頃です。先日、別件の調査で回った珠洲市内の生息地では、僅かですが幼生の発生を確認出来ました。
少し標高が高くて寒い金蔵の場合、町野町の低地や珠洲市沿岸地域に比べ生き物の出現パターンはワンテンポ遅れます。
更に金沢の低地に比べると、能登はテンポが遅れます。金沢で桜の季節が終わる頃にようやく奥能登の桜の季節が始まります。もっとも、金沢でも医王山など山地となると、奥能登より平気で寒かったりします。奥能登には高い山がない為です。


写真は先日、珠洲市で見かけたクロサンショウウオの卵嚢です。新しいもの程小さく白みがありますが、時間が経過すると膨らんで大きくなり色も濁ってきます。更に孵化が近づくと卵嚢の中で胚が成長して1つ1つの粒の中でウーパールーパー状の幼生が発生して並ぶようにして揃う様が見えるようになります。
この日には他に、キイトトンボ幼虫、アジアイトトンボ幼虫、ハラビロトンボ幼虫、マルタンヤンマ幼虫、クロスジギンヤンマ幼虫、ギンヤンマ幼虫、コウベツブゲンゴロウ、ヒメケシゲンゴロウ、オオヒメゲンゴロウなどが見られました。生き物全体が活気づくのも間もなくのようです。

「自然人」(北陸の自然を扱う雑誌)では「いま注目したい能登」と題して、次のNHK連続テレビ小説「まれ」や映画「さいはてにて」の舞台として注目されている能登を特集しています。
今回特集されている団体の1つ、「まるやま組」の記事のページに、まるやまの生物多様性についてのコラムを書かせて頂きました。金蔵の活動とは直接関係はありませんが、金蔵以外でも能登の生物多様性を伝える活動をしていますので、是非御覧頂ければ幸いです。



前回の記事に載せた観察会では主にクロサンショウウオを観察しましたが、観察会では他にも様々な生き物が見られました。また、観察会直前の下見でも希少な水生昆虫が確認されました。
今回はそんな、金蔵の溜め池で見られた生き物について触れてみます。



クロゲンゴロウ、体長20~25mmの大型ゲンゴロウです。石川県・環境省共に準絶滅危惧に指定されています。減少著しい大型ゲンゴロウとしては比較的分布が広く個体数も多いのですが、全国的に減少しています。石川県では能登の一部と加賀方面の一部でしか確認されていません。生息環境は幅広く、溜め池、水田、湿地、水溜まりなど様々な止水域で見られます。
観察会直前の下見で目撃しました。実は金蔵では初記録、町野町周辺でも昨年になって初めて分布が確認された、貴重な大型ゲンゴロウ類です。殆ど休眠状態に近いのか、動きは極めて緩慢でした。



ガムシ、体長33~40mmの大型甲虫です。石川県・環境省共に準絶滅危惧に指定されています。大型水生甲虫としては比較的多い方ですが、それでも全国的に減少しています。石川県ではかつては多かったそうですが、この10数年程の間に急激に減少したと、言われています。この3~4年の間に、能登各地で再発見が進んでいます。
ゲンゴロウと混同されがちですが、肉食性で敏捷なゲンゴロウとは異なり、草食メインの雑食性、動きは緩慢です。
直前の下見で目撃しました。



ヒメゲンゴロウ、体長10~12mmの中型ゲンゴロウです。最も普通と言われ個体数は多く、溜め池や水田で多く見かける他、灯火にも飛来します。この日も活発に泳ぐ姿が見られました。




オオミズスマシ、体長8~10mmのミズスマシです。全国で減少しているようですが、奥能登では溜め池で比較的多く、水面を目まぐるしく泳ぐ姿がよく見られます。
寒くなると水底から見つかることも多いのですが、場所によっては真冬でも夜中に活動しているようです。観察会では活発に動く群れが見られ、参加者を驚かせていました。



ミズカマキリ、大型水生昆虫としては今でも多く見られます。金蔵では、観察会をした溜め池でよく見られます。活発に飛翔して移動分散する為、シーズン外の学校のプールでも見られる水生昆虫の代表種です。環境が良ければ首都圏でも見られる普通種ですが、何故か珠洲市内では滅多に見かけないのが不思議です。紛らわしい名前をしていますが、アメンボやタガメなどと同様、水生カメムシの仲間です。
観察会当日も、岸辺に潜んでいるのが見られました。この溜め池では他に、溜め池などに限って棲息し比較的少ないヒメミズカマキリも見られます。


マツモムシ、体長12~14mmの水生カメムシです。溜め池、水田、水溜りなど幅広い水域に棲息します。逆さになって泳ぎ、水面に落ちた虫や水中の他の生き物を捕食しています。
鋭い口吻を持ち、乱暴に掴むと刺され大変痛い思いをします。刺された時は1~2時間はヒリヒリした痛みが続きました。この日の観察会でもあちこちを動き回っていました。




コマツモムシ(右の2個体)とホッケミズムシです。
コマツモムシは体長6~7mmの小型水生カメムシです。夏から秋にかけて急増するようです。ホッケミズムシは体長9.5~10.8mmの中型水生カメムシです。石川県絶滅危惧Ⅰ類・環境省準絶滅危惧に指定されています。個体数は少ないですが、秋頃の溜め池で見つかりやすい、という印象があります。



僕自身、真冬の溜め池でこれだけの水生昆虫を観察出来ると知ったのは最近のことでした。自然観察の題材が限られる真冬ですが、意外に様々な生き物が活動していることを通じて、冬の自然の姿を知って貰えればと思います。




先日、金蔵集落の溜め池で冬の夜間の生き物観察会を実施しました。参加者は親子約20名です。
真冬ともなると多くの昆虫や両生類などは休眠に入りますが、一方で一部は冬も活動を続けています。特に今回は、冬に繁殖活動を開始するクロサンショウウオを題材に、真冬でも活動する水生動物を知って貰うことが狙いです。
尚、参加者の1人で今回の観察会を仕切ってくれたnotokkoさんのブログでも当日の様子が紹介されていますので、併せてご覧下さい。


東北、中部、関東に分布するクロサンショウウオは体長13~16cm、冬から初春にかけて、溜め池などの止水域で繁殖活動をします。産卵に訪れる水域は幅広く、溜め池、水溜り、果ては民家の庭先の池でも産卵しています。特に成体が生活しているような、樹林に囲まれた水域に多いようです。
奥能登では3月頃に繁殖のピークを迎えるようですが、産卵自体は1月上~中旬には既に始まっています。春頃には白いアケビ状の卵嚢が多く見られ、春から初夏にかけてはあちこちの水域でウーパールーパー状の幼生が多数発生します。

クロサンショウウオは県内では奥能登から加賀方面まで幅広く分布し、機会さえあれば卵嚢と幼生は簡単に見つけることが出来ます。白い卵嚢は非常に目立ち、幼生は個体数が大変多く、場所によっては1網で10~20個体採れることも珍しくありません。その反面、繁殖期を除き成体を探すことは大変困難です。というのも、クロサンショウウオは繁殖時期以外は水域を離れ、あちこちの森林に散らばって、土中などに潜って生活している為、狙って探すことが難しいからです。見つかるケースの多くは、作業などで掘り返した際に偶然見つかる、というのが大半です。
今回は、普段人の目に触れることのないクロサンショウウオの成体を見て貰う為に、活発に活動する夜間に金蔵の溜め池を覗いてみました。



溜め池では産み付けられて比較的新しい卵嚢が20対以上見られました。卵嚢は、メス1個体につき1対を産むと言われています。卵嚢周辺を照らしてみると、あちこちに成体が潜んでいます。この日見られた成体は10個体程度。直前まで寒さが強く、観察会の1週間前頃には水面に氷が張る程だったせいか、卵嚢も成体もまだ少ない模様ですが、3月頃にかけて更に繁殖活動は活性化し、卵嚢の数も増えることでしょう。



この日は他にエグリトビケラ幼虫、エゾイトトンボ幼虫、オオミズスマシ、ヒメゲンゴロウ、マツモムシ、ミズカマキリなどの水生昆虫も見られました。いずれも奥能登の溜め池では比較的普通に見られる水生昆虫で、特にヒメゲンゴロウとマツモムシは過去の観察会でも珍しくありませんでしたが、真冬の溜め池でも活発に活動している
姿に、参加者の皆さんは驚いている様子でした。


今回観察を行った溜め池では他にも、下見の際にはクロゲンゴロウ、ガムシといった県内でも少なくなった大型水生甲虫が見つかっている他、6月頃にはモリアオガエル、春から秋にかけてはコサナエ、オオルリボシヤンマ、ヤブヤンマ、タカネトンボ、ネキトンボ、キトンボ、ショウジョウトンボ、エゾイトトンボ、ホソミオツネントンボ、モノサシトンボなど18種のトンボが見つかっており、集落内でも最も多様なトンボが見られるポイントでもあります。次の観察会では、更に色々な生き物を見て貰い、金蔵集落の豊かな自然を実感して貰おうと考えています。


クロサンショウウオの卵嚢です。水を吸って段々と大きくなります。産みたては真っ白ですが、時間が経つと色が濁ってきます。


クロサンショウウオ成体


この日に見られたクロサンショウウオの成体です。「ちっとも黒くない」「むしろ白い」という声が続出しました(笑)。名前と特徴が一致しない生き物って、結構多いんです。


こちらは、この日に池のあちこちで見られたエグリトビケラ幼虫です。落ち葉を繋ぎ合わせた巣に入って生活し、成虫になると大きな翅を持ち飛び回るようになります。最初は、「葉っぱが動いている」とみんな驚いていました。
すみません、ブログの放置が続いてしまいました(汗)。放置が続いた期間も金蔵集落では、金蔵万燈会、草刈りボランティア活動、JAICAの研修受け入れ、輪島市里山里海まつりへの参加、丸の内朝大学の能登チームへの参加、いしかわ環境フェアへの参加など色々ありましたが、その辺りは別の機会に触れてみたいと思います。

11月7日^8日は、横浜で特定非営利活動法人 よこはま里山研究所NORAを訪問してきました。NORAは横浜を中心に里山保全保全に取り組む団体で、その活動は野菜市、間伐、自然観察会、竹細工教室、農業体験など多岐に及び、参加者も非常にバラエティに富んでいます。
今回の訪問は、毎年の金蔵万燈会でライブをしてくれているChojiさんがNORAに関わっていること、NORAのメンバーが関わるイベントにChojiさんが出演すること、ブログ担当の私が別の機会にNORAのイベントに参加した経緯から、今回の訪問が実現しました。







初日は横浜市南区蒔田での野菜市を見学しました。野菜は全て神奈川県内産の直売品です。都会のイメージが強い神奈川県ですが、西部には今でも多くの農地が広がっています。神奈川県は人口も非常に多く、全国から農産物が集まる大消費地ですが、それだけに地元産であることをPRしての直売は、神奈川県の農家にとっては農業を続ける上でも、とても大事だそうです。

横浜の中心部に近い街中でも地物の野菜市が出来るというのは、地域の農家にとっても、また地域の農家と消費者を繋ぐ上でも、とても素晴らしい試みではないでしょうか。
7月25日(金)に、石川県奥能登農林総合事務所や輪島市の担当者に来て頂き、集落住民を対象とした獣害対策ワークショップを実施しました。

能登に猪が進入して数年が経ち、特にこの2~3年の間に獣害は能登全域で発生しています。金蔵の周辺地域でも猪の目撃談や被害の話は、良く聞かれるようになりました。近隣の集落では電気柵を張る水田も出始めています。そこで獣害対策ワークショップを開いて集落住民に集まって貰い、県の担当者に獣害問題についての話を伺う機会を設けました。


最初に、県の担当者から、獣害対策についての現状と、集落としての対策方法についての講演をして頂きました。ここでは猪の生態、能登での被害状況の他、電気柵などによる対策方法、集落内が一体となって行う対策についての解説がありました。

講演の後は、集落住民同士で持ち寄った猪の目撃情報をまとめ、意見を出し合いました。目撃情報や足跡は主に林縁部など人の目が届きにくい集落の端で多いことがわかりました。また、軽微ながらも猪に作物を食べられる被害も発生していることがわかりました。


金蔵集落でも猪の足跡や目撃談が少しずつ増えている反面、金蔵集落は比較的見通しの良い耕作地が多い(猪は通常、耕作放棄地や林縁部など、人目を避けるコースから侵入してくる)為か近隣に比べて猪の目撃談は少なく、獣害対策についての意識は高いとは言えないのが現状です。一方で、草刈り活動や耕作による農地の維持管理が猪にとって侵入し辛い環境を生んでいること、更に同様の管理を続けた上で電気柵など具体的な対策を行うことで効果的に獣害対策を行うモデル地区を目指すことも可能ではないか、との意見も挙がりました。

今回の結果を踏まえ、8月上旬には獣害対策の為の集落点検を行うことを決定し、今回の獣害対策ワークショップを終了しました。今後は目撃情報や被害情報などを統括する仕組み作り、近隣集落との連携、なども視野に含めた獣害対策を更に推し進めたいと思います。