僕自身は今年で3年目の参加となる「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014」に僕個人の作品とユニットあかみどりの作品をそれぞれ出品しています。
高橋喜代史/万字線朝日駅跡
あかみどり/送電線鉄塔
どちらも岩見沢にあり、見つけにくい場所にあるのでバスツアーなどに参加されるのをオススメいたします。作品もさることながら、やはり、産業遺産ともいえるスケールの大きな炭鉱施設の中に入る事ができるのは他にはなかなかない魅力だと思いますが、廃墟にあまり興味がない僕自身としては、廃墟というだけでは足がむきません。そこに作家の作品がどのような意図や考えのもと展示されているのか?が気になります。必然的に作品のテーマは炭鉱、産業遺産、エネルギー、近代化などに絞られていくなかで、施設の空間に共鳴しているのか?炭鉱の歴史によりそっているのか?我が道を歩んでいるのか?などなど作家それぞれのアプローチの違いが色濃く映し出されるのが僕なりの鑑賞の楽しみの一つです。
3年間参加した結果ようやく、炭鉱アートプロジェクトにおいて自分は炭鉱にまつわる作品を作ろうとしていることを理解しました。とはいえ、自分はリサーチ型の作家ではないので、自分の中に濾過された印象や光景を作品へと変換する媒介者として炭鉱に寄り添いたい。多分に脚色してしまう媒介者ではありますが今回も3年間、炭鉱の地へ何度も通うなか沈殿していった風景や情景、歴史や物語をなど自分というフィルターを通して作品化しています。様々なサイズや形を作っては設置し試しましたが結局は現在、展示している小さくて素朴な作品にたどりつきました。自分の中でも新しい展開ですので見てほしいです。今後も継続し今作の延長上に展開していきます。
朝日駅のほかにも送電線の鉄塔で展示してくれというオファーがあり、鉄塔については大きな展開が必要なため1人より2人のほうがいいだろうとあかみどりで出品することに。鉄塔で何をするか徹底的に話し合い、過去の記憶や自分自身の心との対話をテーマとしました。炭鉱の地で今もなお生活している人々、アートプロジェクトに訪れる人々、また他の所用でそこを偶然通り過ぎる人、それらの人々に投げかけうるもの。あかみどりはアーティスト2人によるアートユニットです。必然的に対話を通じてプラン設計していくので、その対話自体を作品化できないかと考えています。対話は他者のみならず自分や土地や記憶とも継続して行っていくものだと考えています。
僕もまだ他の作品を全ては見ていませんが、10月になれば全部を見て回りたいです。見応えある骨太なアートプロジェクトを是非お楽しみください。ちなみに僕とあかみどりの作品はこちらで見れます⇒TAKAHASHI KIYOSHI
北海道の近代化を牽引してきた、空知産炭地域。石炭が積み出されていくホッパー、石炭を使い電気を生み出す発電所、その電気をつないでいた送電線の道…巨大な石炭産業システムを線でつなぎ「炭鉱の記憶」を現代アートの力で掘り起こすことで、地域の誇りを呼び覚まします。
■会期:
2014年8月23日~10月13日の土日祝19日間
【8月】 23(土)・24(日)・30(土)・31(日)
【9月】6(土)・7(日)・13(土)・14(日)・15(月・祝)・20(土)・21(日)・23(火・祝)・27(土)・28(日)
【10月】4(土)・5(日)・11(土)・12(日)・13(月・祝)
10:00~17:00(入場は16:30まで)
■会場
[夕張清水沢] 旧北炭清水沢火力発電所(夕張市清水沢清栄町)
[奔別]旧住友奔別炭鉱選炭施設内石炭積み出しホッパー(三笠市奔別町)
[北炭送電線鉄塔の道]北炭送電線沿線(夕張市~岩見沢市~三笠市)
■観覧:無料
■出品作家:
<奔別会場>岡部 昌生・上遠野 敏・中渓宏一・坂巻正美
<夕張清水沢会場>端聡・Kevin Gaffney・伊藤隆介・大黒淳一・北川陽稔 ・渡邊俊介・札幌市立大学学生・卒業生有志
<送電線鉄塔&周辺の旧駅舎や炭鉱施設>今村育子・高橋喜代史・あかみどり・上遠野敏・札幌市立大学学生
■主催:札幌市立大学
■共催:NPO法人炭鉱の記憶推進事業団
■協力:
清水沢清栄町さつき町内会、清水沢宮前町内会、東亜建材工業(株)、北海道旅客鉄道(株)新夕張駅、夕張市、夕張市教育委員会、幾春別連合町内会、旧唐松駅美観運動、(株)ホッコン、三笠市、朝日町内会、岩見沢市、スパ・イン・メープルロッジ、地崎果樹園、CAI現代芸術研究所
■助成:
平成26年度文化庁大学を活用した文化芸術推進事業
<空知旧産炭地域における「炭鉱の記憶」をキーワードにした地域再生のためのアートマネジメント人材育成事業>
■協賛:
財団法人福武財団
■札幌国際芸術祭2014連携事業
■お問い合わせ:
NPO法人炭鉱の記憶推進事業団 そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター
0126-24-9901
10:30~17:30(月・火休館)