[PARC 3 : small world]無事終了 | ハイブリッドアート
札幌駅前通地下歩行空間 開通3周年記念事業として開催した
Public Art Research Center 3[PARC 3 : small world]
3月16日、無事終了することができました。


岩崎貴宏さんは流石の貫禄で、見るものを引き寄せてしゃがみこませ惹き付けていた。
時間のないなか、チカホの落とし物から札幌にあるタワーをつくるサービス精神と、
アルバイトの美術学生に厳しく質問する様が格好良くて世界で闘うアーティストの姿を見た。

早川祐太さんの彫刻は子供からの人気が特に凄く、子供達が目を真ん丸にして眺めていたり
親子連れが不思議な浮遊物の構造について話しながら見ている光景がパブリックならでは。
目に見えない重力をシンプルな構造で視覚化し、自分達が立っている星の力を感じさせてくれた。

久門剛史さんの音と光が空間と時間を移動する作品は、時計に見入ることで滞在時間を
巧みにコントロールされる。その後もその場に留まる仕掛けが数々起こり、
プライベートとオフィシャルを行き交う物語が、人それぞれの中に瞬間瞬間かたちづくられる。

今村遼佑さんは、小さな作品を広いスペースに高低差をつけて展開させる空間感覚と、
境界を象徴する物と作品が人々の観察力や洞察力を柔らかく挑発していく。膝をつき、頭が
地面スレスレにしなければ見れない小さな街灯を見てほっこりして展示が終わる。

地下歩行空間という激しい場所で、人工芝という難しい環境のうえで
4名の作家さんは見事に期待に応えてくれる作品を展示してくれた。
しかも、時間もないなかほぼほぼ新作。手抜きなしの本気っぷりが嬉しかった。

多くの人が行き交う巨大な空間に、巨大で派手で判り易い作品を置きたくなかった。
嫌でも視界に入る作品ではなく、意識的に足を踏み込んで見に行かなければ気付けない
作品を点在させることで、自分達は普段一体何を見て知覚し感じているのか?考えてみたかった。
公共空間の雑踏の中で発見できる個人の感覚は、案外深い所にあるのではないかと思う。

河田雅文さんを講師に迎えたイスづくりワークショップも大盛況で、
2日目には全日の予約が埋まってしまい急遽、予約数を増やしたところ
3日目に最大9名が同時にイスを作るという大ピンチになりまして冷や汗かきました。
イスづくりがあることでテーブルが存在し、そこに人が集まり、おしゃべりしてる。
イスづくりは口実で、イスを基点としたテーブルが生み出す関係性に興味がある。
しかし、今回参加してくれたのは女性のみ。男性は誰1人参加してくれず。
感覚的に楽しそうだから作ってみるという女性ならではのフットワークの軽さに感銘を受けた。

工藤安代さんの講演「パブリックアート1.0→2.0 多様性に向けて -いままでとこれから-」 
学生でも判るよう時代の変遷をたどりながら体系立てられたパブリックアートの歴史を
聞くのは初めてだったし、欧米と日本の違いが顕著に現れていたようにも思う。その後の
打ち上げの席でも、関西と関東との違いに話が移り民族性というか土壌の違いに議論は尽きず。

蓮沼執太フィル。
「チカホのBGMをつくるワークショップ」がライブ前の午後に行われ講師も参加者も皆、
マックブックを開いて黙々と音楽制作を行う絵が面白かった。「ライブ」は、詳しく
数えてはいないが、トータル200~300人くらいの方に来ていただき、大いに盛り上がる。
札幌のお客の凄い盛り上がりにメンバーはビックリしたようで札幌のライブや観客は
大人しいという印象が覆された。ライブ後のCDを買う、サインを貰う行列が圧巻。
「アフターパーティ」ではリミックスアルバムを一足先に聴くことができるという
貴重な会となり、その中でもjimanicaさんのダンスがお見事でしたね。やはりノリが違う。
リハーサルからライブ本番中、チカホがキラキラと輝いて見えたのが印象的。

協賛のみならず、音響機材やソフトウェア、人的サポートまでしていただいたクリプトン・
フューチャー・メディアの、西尾さん、黒田さん、そして何と言っても磯崎智恵美さんに感謝!

蓮沼執太フィル18名の大所帯が来ることができたのも、協賛いただいた札幌パークホテルさんの
多大なるご協力をいただいたからです。パークホテルの荒木田さんと金森さんには頭上がりません。

更には、PARC3を支えてくれたアルバイトのみんな。前回から手伝ってくれているPARCの
コアメンバー、鉄郎、櫻田、福原、眞木。もう特に指示をしなくても自らテキパキ動いて
イスづくりも完璧。今回は今までになく助けられました。PARC3の1週間で道外の作家や
ミュージシャン、研究者、札幌の先輩たちと話すなか、4人が急速に成長したように見えた。
他にも、お杉、一成、高井さん、なべちゃん、みんな頑張ってくれました。

そして最後はやはり、
主催するだけでなく、共に企画運営をしてくれた札幌駅前通まちづくり株式会社さん。
白鳥さん、内川さん、澤ちゃん、藤本さん、森ちゃん、そして何と言っても今村育子!
まちづくり会社がやるには少々コアなアートイベントになってしまうのですが、
他にはないユニークな例として、今後とも暖かく、長い目で見てくれると有り難いです。
このような機会を与えていただき、本当に本当に感謝しています。

そしてそして、足を運んでくれて、感想を言ってくれた皆様。
本当にありがとうございました。楽しんでもらえたなら幸いです。