最近、どうしても観たい映画があったので、行ってきました。
「EIGHT DAYS A WEEK TOURING YEARS」
ビートルズの曲名がそのままの映画です。

 

私が生まれたときにはすでにビートルズは解散しており、音楽的に物心がつく前に、ジョン・レノンが射殺されるというショッキングな事件が起きていました。そのことは何となく、小学生だった私もニュースで流れていたのを記憶しています。
私が初めてビートルズを見た(聞いた)のは、深夜テレビでやっていた「コンプリート・ビートルズ」という映画をたまたま見たときです。

聞いたことのあるフレーズ。この歌も、あの歌も、え?ビートルズなん?と非常に衝撃を受けました。そして、当時レンタルレコード屋にいって、すべてのアルバムを借りて聞きました。中学生でもわかる程度の英語(歌詞を見れば)なので、暗唱できるくらい何度も何度も聞きました。
当たり前ですが生で聞いたこともない、テレビで演奏する姿も見たことないので、私の知っているビートルズはCDの曲だけでした。
今回、映画の中心は、世界中で行われたライブ映像や、スタジオで曲作りをしていた時、練習しながら完成させていく途上に録音されたものでした。
映画の中で、現在のリンゴが「ライブ中は歓声が大きすぎて、ほかの人の声も演奏も聞き取れなかった。だから、ジョンやポールが頭や尻を振っているのをみて適当に合わせていた」という告白をしたのには驚きました。たしかに、どのライブも、曲など聞かず泣き叫び、失神する女の子たちばかりでした。
しかし、そんな中でも、演奏も、歌声もしっかりしている、そのことに驚きというか、感動。
私が知っている音楽は、CDで録音されるのがベストな状態で、実際テレビで聞いたりすると「音程が狂っているな」とか「息切れしているな」と感じます。
映画を見て、ビートルズはライブの方が上手と言ったらおかしいかもしれませんが、発声も演奏もCDに勝っているように感じました。

しかし、誰も聞いていないライブに嫌気がさし、1966年を最後に人前での演奏はしなくなり、スタジオで曲を作り発売するということに専念するようになりました。本当に残念です。それ以降の曲は、私だけでなくほかの人もCDでしか聞いていないんですから。

映画の最後に、アップル社の屋上でライブが行われた映像が流れました。「Don’t Let Me Down」という曲です。あまりのカッコ良さにうるっときました。突然始まった演奏に、街中を歩くサラリーマン達が驚いて上を見上げています。あっという間に人だかりができ、隣のビルの窓からも見ています。
奇跡というほかない。偶然居合わせた人たちが羨ましかった。

今回の映画で初めて知ったのですが、アメリカ南部のスタジアムでライブをした時に、白人と有色人種の座席を分けなければライブは中止するという現地の強い圧力がかかったそうです。しかし、4人は記者会見で「英国ではそんなことはしない」ときっぱり拒否。当時はトイレも、レストランも水飲み場も全て分けられるのが当たり前。このことは人種差別の根強いアメリカで非常に大きな反響を呼んだだろうと思います。
若者の文化や音楽だけでなく、社会にも大きな影響を与えたビートルズ。もうライブは見られないけれど、せめてポールの来日公演は行きたかった。また来ないかなあ。