いただいたご質問への回答 | ヒャクゴウ、地球を駆け抜ける

ヒャクゴウ、地球を駆け抜ける

思いっきりやりたいことを、真剣勝負でやります。そんなヒャクゴウの日々の記録とたわごと

このたび、下の記事に関しまして、 貴重なご質問をいただきました
長くなりましたので、
改めて、一つの記事にしようと思います。

私たちはついつい文法を重視しがちですが、
その路線で行くと、必ず壁にぶち当たります。


そんな意味もこめて、お答えいたします。

いただいたご質問は
「はじめてBさんに会った時、ゲイそうだと思いました」という
様態をあらわす「そう」の使い方が間違っていたので、
私が「ゲイだと思いました」に直したことについて、


Q1.類似の意味を持つ「~よう」と「~みたい」との言い替えは可能か、というもの

お答えします。

様態の「~そう」は話し手が見たり、聞いたりしたことから判断したことを表します。
よって、非常に主観的です。
ですから「第1印象」のようなフィーリングで何かを言う、ということに使えます。
しかし、名詞には接続できないので、
「~だと思う」という形が一番ふさわしいと判断しました。

「~と思う」は第1印象でも、話し手の意見でも使えますよね。


「~よう」は、同じく話し手の判断や印象、そして推量を表します。なおかつ、これらは単なる習慣ではなく、経験やデータなどを根拠にする度合いが高いです。また、こちらの方が、ニュースやスピーチなどフォーマルな場面で使われることが多いです。

では比較してみましょう。(文章を変えます)
 

①先生はお先が好きそうですね。
②先生はお酒が好きなようですね。


①と②、もちろん語接続が異なります。そして、①は「なんでかは分からないけど、そんな気がする~」みたいな心情で語ってますね。反対に②は「先生はいつもお酒の話をする」とか「お酒の銘柄に詳しい」とかはたまた「毎朝お酒臭い」といったような信憑性のある判断根拠があって、語ってますね。

まあシャーロックホームズのような人であれば、人の第一印象を「~ようだ」で語ることもあるでしょうが・・・


それから、「~みたい」ですが、こちらは通常の会話で使われます。こちらは「~ようだ」の会話バージョンとして考えられているようです。

以上のことから考えると、やはりどれでも言い替えが可能、というわけではないことが分かります。


また、いくら初級文法とはいえども、
「そう」「よう」「みたい」が、初級教科書でそろわないことのほうが多いです。
前の二つは導入しても、「みたい」は中級の前半に回すなどの措置が取られているようです。
すべての初級テキストを調べたわけではないので、なんとも言えませんが、
『みんなの日本語』では「そう」と「よう」が、『ニューアプローチ』では「みたい」が出てきます。

類似の文法とはいえども、以下のことに気をつけねばなりません。

①言い替えができない部分。つまり似て非なる部分の非なる部分。
②文法的には正しくても、日本人がそう言うか否か。
③あるいは社会的なルールに従っているか。


日本語を教えるにあたっては、当然文法ではなく、
社会における実用性も重要なのだと思います。



Q2「~だと思う」の「~」に入る連体形は別の授業の時に導入するのですか?


第一に、日本語教育の場では、国語文法の用語は出てきません
動詞、名詞、形容詞、自他動詞、副詞・・・といった本当に基本的なものだけです。

じゃあ、どうやっているのかと言えば、

「名詞+だ+と思います」
という形で提示するのです。

そうすると連体形やら連用形といちいち教えなくてもいいですよね。

いわゆる動詞の連体形は、て形やます形という風に提示しますから。

*参考文献を一番下に出しておきますね本




これでいいかしら、Iさん?

また、ヒャクゴウの記事に関して、ご質問
または、「こんなことを記事にしてほしい」というリクエストがありましたら、
遠慮なくおっしゃってくださいね^^

Iさん、貴重なご質問、ありがとうございましたラブラブ日本語文型辞典/グループジャマシイ

¥3,465
Amazon.co.jp

初級日本語文法と教え方のポイント/市川 保子

¥2,100
Amazon.co.jp

初級を教える人のための日本語文法ハンドブック/庵 功雄

¥2,310
Amazon.co.jp