雑誌「美術屋・百兵衛」の取材で高知へ行ってから、もう3週間ほど経ちます。
本来はレンタカーを借りて回った方が良いのでしょうが、
こちらは悲しいことにペーパードライバー
仕方なくJRや路面電車など公共交通機関を利用しました。
そのため、JR高知駅には何度も足を運ぶことに・・・。

 


 

実は現在、高知県では「志国高知 幕末維新博」というイベントが開催中。
2017年は大政奉還から150年、2018年は明治維新150年ということで、
土佐に注目が集まるこの機会に、高知の歴史以外の魅力である、
風土や文化、自然や食にまで目を向けてもらおうというのが目的のようです。
地上の玄関口となるJR駅前では、3人の志士が観光客を迎えます。

 

 

左から武市半平太坂本龍馬中岡慎太郎
いかにも高知(土佐)らしい歓迎ですね。

さて、高知駅構内では志士とは全く異なる像が人々を出迎えてくれます。
それが、これ。

 

 

ふざけたような奇妙の像ですが、どうやらこれでも“神様”のよう。
べろべろの神様”と書いてあります。

 

 

実は高知では有名な神様のようで、夜更け過ぎまで延々と「お客」を続けていると、
べろべろの神様が 降臨するというまことしやかな伝説があるそうです。
気まぐれな神様ゆえ、誰もがそれ体験できるわけではないのかもしれません。
特に渡しなどは、下戸と言って良いほどお酒に弱く(缶ビール1本がせいぜい)、
夜更け過ぎまで酒を飲み続けるなんて、ハナから無理なので・・・。
ちなみに「お客(おきゃく)」とは高知では宴会のことを指すようです。

高知の人は、冠婚葬祭や神事など、理由をつけて宴会をするのが好きだと言います。親類や友人、近所からお客さんを招いて宴会をすることが多く、
いつしか宴会の事自体を「お客」と言うようになったとのこと。
無礼講で知らない人とも杯を酌み交わす「お客」の場に登場するのが、べく杯
この天狗などの面の裏側にお酒を注いで飲むようです。

 

 

飲み干さなければ、けっして下に置くことができない杯のことを指します。
下戸にとっては拷問のような話ですが(笑)。

さて、べく杯と並んで「お客」に欠かせないのが皿鉢(さわち)料理でしょう。
高知ならではの様々な郷土料理がひとつの大皿に盛られたもので、
神事の際に神と人が食べ物を分け合って食べることが起原のようです。
大皿に盛られた料理を大人数で食べるのが基本ですが、
予約不要で、一人前から注文できるものを提供してくれる料理店もあります。
私も試してみました。それがこれです。

 

 

カツオの叩きや刺身、クジラ料理やドロメなどが盛り合わせになったもの。
ちなみにドロメとは、ちりめん(イワシの稚魚)を生で食べるように整えたもの。

 


慣れていない人にとっては、生臭さが少し気になりますが、
ドロっとした独特の食感が特徴的です。
お酒が好きな人にとっては格好の肴になりそうですね。
どんどん杯を重ねて行くのではないでしょうか?
私の場合は、いつもの通りビール一杯でギブアップでしたが(笑)。

取材中に食べたもので、最も印象的だったのが「中日そば」。



香南市の赤岡町で親しまれている、多くの高知県民も知らないニッチなB級グルメ。
麺は明らかに中華麺ですが、そこに乗っている具材は何となく和風。
ドロメと違い生ではなく、釜揚げにしたちりめんも見えます。
スープの方は、こちらも和風そのもの。
カツオ節で取ったと思われるダシに、ほのかな塩味が加わって、実においしい。
「中日」とは、中華麺を日本のうどんダシに入れたものということのようです。

 

私が入ったのは、料理屋ではなく、雑貨屋にしか見えない「とさを」という店。

 

 

中日そばの名店らしく、店内には有名人のサインが所狭しと並んでいました。
高知からは電車で1時間近くかかりますが、
麺好きの人にとっては、わざわざ行く価値があると思います。