2ヶ月ほど前の話ですが、生涯二度目の歌舞伎を観てきました。

以前観たのはおそらく10年近く前のこと。
建て替え前の歌舞伎座でした。

 

 

新しくなった歌舞伎座へは、今回初めて足を踏み入れました。
ただし、前回も今回も観たのは一幕のみ。
そう私が座った席は「一幕見席」という最も安い席だったのです。


ご存じない方に説明しましょう。
通常、歌舞伎といえば昼の部か夜の部を通して見るものですが、
時間は3〜4時間前後かかり、観劇料も1等席が1万8000円、
最も安い3等B席でも4000円かかります(歌舞伎座の場合)。
一方、一幕見席はその名の通り一幕限定、約1時間見るだけですが、
観劇料は1000円程度と実にリーズナブルです。

一幕見席は歌舞伎座4階に位置しており、全てが自由席。

通常は椅子席が約90名、立見が約60名の合わせて約150名の定員のようです。
歌舞伎座1階の正面玄関の左側にあるチケット売場にて幕見席チケットを購入し、チケット売場裏手の幕見用エレベーターで歌舞伎座4階まで上がります。
他の席の方が利用できる売店などは使えません。
チケットは当日券のみで、事前の予約は出来ず、
人気の演目ともなると売り切れるのが早いので、早めに並ぶ必要があります。
團菊祭五月大歌舞伎が行われていたこの日。

 

 

伽羅先代萩(めいbくせんだいはぎ)」を観ようと思った私は、
1時間ほど前に所定の場所に行きましたが、すでに50人ぐらい並んでいました。



エレベーターに4階まで上がると、並んだ順に案内され、席につきました。
場所は中央より少し左寄り。

 

 

画像を見ればおわかりのように、かなりの急勾配の上方になります。
右の方はこんな感じ。

 

 

左を向けば、こうなります。



花道などは少し見えるだけです。
仁木弾正役の市川海老蔵が花道で見栄を切ったりしていたのですが、
さすがに一幕見席からはほとんど見えませんでした。
そんな風に制限は多く、行列に並んだりする必要はあるものの、
時間がなかったり、少しだけ歌舞伎を体験したい時にはけっこう便利です。
歌舞伎なんて・・・観ていても、つい眠ってしまいそう。
なんて不安に思っている方は、まずは一幕見席から試してみませんか?

 

さて、この日に観た「伽羅先代萩」を先日別の場所でも観てきました。
高知県香南市赤岡町の商店街の中です。

 

 

幕末から明治初期にかの地で活躍した絵師、絵金の芝居絵屛風でした。
ちょうど千松が毒入りの菓子を食べようとしている場面でしょうか。
この演目の名場面中の名場面ですね。
倹約令か何かのために芝居を禁じられた土佐の民衆が、
せめてもの楽しみにと、芝居絵屛風を描かせて神社に奉納したとのこと。
この日は須留田八幡宮の神祭ということで、
年に一度、本物の屏風絵が氏子の軒先で公開されていました。
暗くなって、蝋燭の光に照らされた絵は、怪しくも美しいものでした。