先週末は、台北 國立故宮博物院の至宝を観てきました。
会場は、大阪のシテ島(←言い過ぎですね)とでもいうべき中之島にある

大阪市立東洋陶磁美術館です。

 

 

ちなみに写真の左側にある銅像は、かつて大阪市長を務めた關一(せきはじめ)。
大阪市を南北に貫く道路、御堂筋をつくった人です。

このシックな建物の中で、3月26日まで開催されているのが、下の展覧会。

 

 

中国北宋時代(960〜1127)末に宮廷用の青磁を焼成した
汝窯を代表する青磁水仙盆の名品を紹介するものです。
水仙盆6点のうち5点が台北にある國立故宮博物院の収蔵品で、
うち4点は海外初公開となる貴重な品です。

ただし、その中の1点は北宋時代のものではなく、
18世紀に清の皇帝が景徳鎮の官窯で焼かせたオマージュ作品。
また、6点の中でただひとつ日本に伝えられたものがあり、
それは現在、大阪市立東洋陶磁美術館の収蔵品となっています。
なお、この展覧会については雑誌「美術屋・百兵衛」で取り上げましたが、

 

 

2月12日にNHKの日曜美術館(「幻の青磁 千年の謎」)でも紹介されました。

おそらくそのためでしょう、かなり多くの来館者が詰めかけていました。

 

6点それぞれに大きさや形が微妙に違い、見応えはあります。
観るまでは「まるで洗面所にある、石鹸入れみたい」と思っていましたが、
実際にはそんなことはなく、優美で上品な、素晴らしい名品でした。

特に、その澄んだ青空を思わせるような色には目を奪われました。

(この微妙な色の違いが、特に興味深い点でした)

しかし、当然ながら会場内は撮影禁止。
残念ながら、写真は撮れませんでした。

その代わりと言ってはなんですが、2階(展示フロア)のロビーに、

記念撮影コーナーが設けられ、巨大な水仙盆のパネルがありました。

 

 

同じロビーには、近年つくられた水仙盆も飾られています。

陶芸家・島田幸一の青磁水仙盆です。

 

 

 

島田はサラリーマンとして働いていた頃に台湾の故宮博物院で見た器に感銘を受け、

その再現を目指し、40歳を超えてから陶芸家になりました。

彼は静岡県島田市の地でその再現に半生をかけ、

900年の時を超えて、失われた美と技法を完璧に現代に蘇えらせたのです。

残念ながら昨年(?)お亡くなりになりましたが、
その情熱と研究の成果は、こうして後世まで末永く残ることになります。

ロビーにはもうひとつ、展示がありました。

 

 

おそらく水仙の部分までやきもので作られているのだと思います。
説明はなかったように記憶しているので、詳細はわかりませんが・・・

ただ、すぐそばの壁には、こんなパネルが貼ってありました。

 

 

実は北宋時代の青磁水仙盆の裏にも、上のような漢詩が彫ってあります。

その素晴らしさに感嘆して、思わず詠んでしまったのでしょう。
人は究極の美に触れた時、詩人になるのかもしれません。

 

特別展以外の展示もなかなか見応えがありました。
特に国宝「油滴天目 茶碗」は必見!
油のような斑紋の美しさは、やはり本物を観ないとわからないと思います。

特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」■開催概要

会場/大阪市立東洋陶磁美術館 展示室J
会期/2016年12月10日(土)~2017年3月26日(日)
時間/9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日、3/21(火)
観覧料/一般1,200円、高校生・大学生700円
    中学生以下・大阪市内在住の65歳以上は無料
TEL/06-6223-0055
URL/http://www.moco.or.jp/exhibition/current/?e=366