1926(大正15)年、上野公園に開館した東京都美術館
今年で開館90年を迎える、日本の公立美術館としては最も歴史ある館です。
開館90周年を記念して、「木々との対話―再生をめぐる5つの風景」展が開催されます。
この展覧会に出展するのは、5人の現代作家たち。
國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、舟越桂という個性的なメンバーです。
彼らの作品によって、木という素材による表現の奥深さを体感できる展覧会になっています。

■展覧会概要■
名 称/木々との対話―再生をめぐる5つの風景
会 期/2016年7月26日(火)~10月2日(日)
会 場/東京都美術館 ギャラリーA・B・C
休 日/月曜日 ※ただし、9月19日(月・祝)は開室
時 間/9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
    金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)※9月23日(金)、9月30日(金)を除く
    8月5日(金)、6日(土)、12日(金)、13日(土)、9月9日(金)、10日(土)は9:30~21:00
観覧料/一般 800円、大学生・専門学校生 400円、65歳以上 500円
    *高校生以下無料。
    *10月1日(土)は「都民の日」により、どなたでも無料

さて、この展覧会の出展者の中でも、最も知名度の高いのは、舟越桂さんでしょう。


現在、日本で最も有名だと思われるこの彫刻家にインタビューすることになりました。
10月15日発売予定の雑誌「美術屋・百兵衛」で特集するのは、岩手県文化。
そこで岩手県出身の舟越さんにインタビューのお願いをしてみたところ、
快諾していただけました。
今月末には世田谷にあるアトリエを訪問して、お話をお伺いする予定です。



たとえ舟越桂という名前を知らない人も、
2000年のベストセラー「永遠の仔」の装丁を見たことがある人は多いのではないでしょうか。


ここに使われているのが、実は舟越作品なのです。
個人的に最も記憶に残っているが、2008年に東京都庭園美術館で開催された
舟越桂 夏の邸宅」展。
舟越作品がやや暗めのアール・デコ風に装飾された小部屋に一点ずつ展示してあり、
実に印象的な展覧会でした。
見事な彫刻作品と美しい展示空間の相乗効果で、
素晴らしい総合芸術が生み出されていました。
この時は会社の夏休みを利用して
3泊4日ぐらいの首都圏アートの旅に一人で出かけていたのですが、
いくつか回った中で、この「舟越桂 夏の邸宅」展がベストだったと思います。


舟越桂「戦争をみるスフィンクス」


さて、舟越桂さんの父は、こちらも有名な彫刻家・舟越保武さん。
長崎にある「日本二十六聖人記念碑」でよく知られています。


私は実家が隣の佐賀県にあるので、この記念碑も何度か見たことがあります。


もちろん昔は、それを誰が作ったのかなど知りませんでしたが。
実は舟越一家は敬虔なクリスチャンらしく、
聖人の荘厳さを見事に表現していることも納得できます。
そういえば、舟越桂さんの作品からも深い精神性や静謐さが伝わってくるように感じます。
ただ、芸術を鑑賞する際には、そんな周辺情報は不要、
むしろ鑑賞の妨げになるかもしれません。
そんな話を抜きにしても、舟越作品(保武作品も桂作品も)はとても魅力に溢れています。
アトリエを訪れて、その制作の秘密の一端でも窺えるのが、今から楽しみです。


舟越桂「もう一人のスフィンクス」


舟越桂「銀の扉に触れる」


舟越桂「DR1402」


舟越桂さんのインタビュー記事が載るのは10月15日発行の「美術屋・百兵衛」No.39ですが、
明日は「美術屋・百兵衛」No.38の発売日
こちらは沖縄文化を特集しています。
最近注目を集めている写真家・石川竜一さんのインタビュー記事も載ってますので、
ぜひこちらもご覧ください!