現代美術二等兵」という2人組のアーティストをご存知でしょうか?

公式サイトから紹介文を拾って来ました。
籠谷シェーンふじわらかつひとからなるアートユニット。
ユニットではあるが、作品は共同でひとつのものを作るのではなく、
それぞれが制作し、展覧会時に持ち寄るソロ二人組み形式。
彫刻だけでなく絵画、写真など表現方法にこだわらない制作を続けている。
それぞれが目指しているのは「楽しい」「おもしろい」作品たち。

数年前「Casa BRUTUS」に1年間連載を持っていたこともあり、
作品集があのマガジンハウスから出版されているアーティストです。
自分たちの作品を彼らは「駄美術」と呼んでます。
それは決して「駄作」という訳ではなく、
「駄菓子」の「駄」という感覚でしょう。
むしろ「駄」洒落(ダジャレ)の方が近いかも知れません。
そんな彼らが今、京都の画廊「MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w」で個展を開催中。
今日はその展覧会を観に行って来ました。

今回の駄美術展のタイトルは、なんと「無美術」。
Mr.Mのひとりごと

「駄」美術どころか、もはや美術ではない「無」美術だと言いたいのでしょうか?
2年前(だったっか?)、同じ画廊で開催された駄美術展はスペース全体を使っていましたが、
今回は空間の半分が美大生のグループ展として使われていたために、
こじんまりとした印象でした。
作品はあいかわらず吉本新喜劇的なストレートな、駄洒落的要素が満載。
竹内力の写真をプリントしたリュックサック「RIKIサック」などは、本当に脱力モノです。
$Mr.Mのひとりごと


そんな「無美術」展の目玉は、ガチャガチャ。
Mr.Mのひとりごと

コインを入れて把手を回すと、丸いプラスチックカプセルに入ったおもちゃが出て来る、アレです。
で、中に入っている商品は現代美術二等兵のオリジナル作品である
「マイナー動物ビスケット」マグネット。
動物ビスケットというお菓子の存在は、皆さんご存知でしょう。
いろんなメーカーから似たような商品がいくつか出ていますが、
動物の形をしたビスケットというコンセプト自体はほぼ同じ。
老舗の梶谷商店の動物ビスケットは1953年頃に発売されたロングセラー商品です。
動物ビスケットに登場sする動物たちは犬、猫、熊、馬などメジャーなものばかりですが、
マイナー動物ビスケットの方はというと、ミツユビナマケモノやキンシコウ、タスマニアデビル…
ほとんどが、「マイナーだな」と思わずつぶやいてしまいそうな動物たちです。
ただ、中にはフェネックやアルパカなど、そこそこメジャーな動物も混じっていますが。
「マイナー動物ビスケット」自体はマガジンハウスの作品集にも載っているのですが、
今回は動物のラインナップが様変わりしていたようです。
昔はウォンバットなんかも入っていたと思うのですが、今回はありませんでした。

さて、1回200円するガチャガチャに私も挑戦してみました。
2回のチャレンジなので、合計400円の投資です。
その場でカプセルを開けてしまうのは大人げないので、
家に持ち帰ってから開けてみました。
$Mr.Mのひとりごと

中から出て来たのは、カモノハシ。
$Mr.Mのひとりごと

確かにマイナーと言えばマイナーかな。
もう一つのカプセルは、トビネズミでした。
$Mr.Mのひとりごと

一部では人気が高いものの、やはりマイナーな動物です。
看板に偽り無しと言ったところかな。

ところで、この「マイナー動物ビスケット」マグネットを販売しているのが、
なんと「奇譚クラブ」という名前の会社。
この名前は、1952年6月号より1975年3月号まで発行されたSM系の雑誌と同じです。
雑誌の方の「奇譚クラブ」は、1955年に一時発行禁止処分を受けたこともあるそうで、
出版社は曙出版、天星社、河出書房新社(!)と変わっています。
団鬼六の『花と蛇』、沼正三の『家畜人ヤプー』はこの雑誌に発表されたもので、
マニアの中にはご存知の方も多いかもしれません。
でも、何故この雑誌の名前を社名にしたのでしょうか?
単なる偶然の一致?
いやいや、そんなはずはありません。
その理由を、ぜひこの会社の関係者に聞いてみたいと思います。
機会があれば、ですが(笑)