恥ずかしながら、
私はこの日本画家を知りませんでした。
母が、油絵を学んでいた関係で、
この方の“油絵→日本画”への転身に興味があったらしく、
昨年から、
行きましょ~!と誘われていたのですが、
大変人気のある画家らしく、
混んでる時は行きたくないなぁ、
などと、
ごねたりしておりました。
ただ、
「オブセッシブに陥って行く人間の姿」を描いている、という事でしたので、
大変興味があったのも確か

重い腰をあげて、今日行って参りました

結論から言うと、
身体中から、力が沸く絵ばかりでした。
題材は、
腑分け、幽霊、骸骨や身体の中から内臓が出ているもの、など
グロテスクなものが、多いのですが、その絵のどれもが私には女性への賛美に見えました。
・「隠刻された四肢の祭壇」
(立ち姿の女性が、まるで花嫁衣装の打ち掛けのような内臓を纏っている)
・「浄相の持続」
(女性が命を宿した子宮や胸元までもをさらけ出して微笑んでいる絵)
・「夜盲症」
(長い髪の毛の女性の幽霊の絵)
が、特に印象的。
女性にのみ課された受胎。
そしてその当たり前の事をあまりオープンにできない日本の風潮から来る女性差別。
女性だからこそ飲み込んで生きていかなければならない感情。
内臓や苦痛、全てをさらけ出してなお
微笑みを浮かべる女性の神々しいまでの美しさ。
本当に素晴らしい

もちろん、日本画ですから、
精密なデッサンや
息を飲むような一筋一筋の筆の流れにも見応えがあります。
そして展示の一番最後には
勝ち虫が、生まれ出るデッサン画でした。
ありとあらゆる「負」の画の後の
「生」の画に
松井冬子さんの気持ちを覗いたような気持ちがしました。
宗華


