もう何日も
繰り返す僕の心の痛み
 
これは
10年以上前
信用していた人との別れ
シングルファザーを
選んだ彼女の旦那さんのものだ
 
僕は
その報いを受けてる
 
自業自得
 
そして
僕が自責を感じる相手は
彼女ではないと
理解し始めてる

少しは歩けるかな

でもまだ
波は穏やかではない

例え何を失ってでも
自己実現がしたい

これが彼女の本質
 
それは
良し悪しではなくて
彼女の価値観
 
氷河期世代
不本意な仕事に就き
結婚、出産
 
そして
家事、育児の中
アルバイトをして
地道に活動をしていた彼女
 
僕とのことで
離婚したと言うが
 
そもそも
何故
僕を含めて少なくとも
2つの不倫をする必要があったのか
 
それは
元の家庭にあった
何らかのストレスの顕れ
 
お金、時間が制限され
思うように
やりたいことをやれない

そのストレスに
耐えられなかったからではないか
 
それは
離婚について
彼女が言ったことから想像できる
 
最初は
『あなたとの不倫が原因』
 
その次は
『私がもう少し我慢出来れば良かった』
 
DVがあったと聞いたから
そういうことなのかと思った
 
そして
決定的な別れの時
『希望の仕事に就職出来てれば離婚はなかった』
と漏らした
 
彼女は
希望の仕事
やりたいことがあって
家族の犠牲になりたかった
 
つまり
彼女に大事なのは
自己実現や表現の場なのだ
 
僕の過ちは
彼女の本質に気付かず
満たされなかった親との距離を
彼女に求めてしまったこと
 
離婚後
居場所を失った彼女は
僕の住む大田区に来た
 
すぐに仕事も見つからず
彼女はいつも家にいた
 
帰宅すれば
そこに家族がいる
 
そんな経験のなかった僕は
嬉しくて
この人はずっと一緒にいてくれると家族だと
絆を求めてしまった
 
同棲後に
彼女の本質に気付く機会はあった
 
彼女には
日々ノルマとして続けていた
制作活動があった
 
ある日
彼女の使った食器が
キッチンに
洗われず放置され
使えないので
 
先に
食器を片付けてと
苦言を伝えたところ
 
『私のライフワークを辞めろと言うの!』と
激しく怒った
 
ただ
片付けて欲しいだけだったのに驚いた
 
そのあたりから
違和感
僕は距離に悩み始めた

 

そして

いくつかの季節を経て


彼女は
生活も安定し
転職して彼女の望む仕事も手に入れた

経済的にも安定し
個人の活動の場も増え
家より外の時間が増えていった
 
外で食事したり
飲んでくる日も増え
夜も遅いから
食事を共にすることも無くなった
 
一緒に行っても
嗜好が合わないし
楽しくないとも言っていた
 
彼女の好きなものは
僕の苦手なものが多かったから
正直に苦手というと
私の好きなものを否定されたくない
もう誘わないと
彼女の地雷を踏んだ

そういう
一方的な結論じゃなくて
お互いが食べられるもので
一緒の時間を過ごしたかっただけだったのに
 
だから
何かと衝突を避けるために
僕から距離を置いていた

一緒の時間が少ないねと言うと
僕を気にかけてくれたのか
『週末は出来るだけ家にいるようにしてるんだよ』と答えた

それはそれで悲しい言葉だった
 
彼女の生活の軸はもう
家でなく僕の知らない外
 
いつも遅いので
『忙しくてそうだね、大変だね』と言うと
束縛と思うのか
皮肉に思うのか不機嫌になった
 
事実婚でもなく
一緒に遊ぶ恋人でもなく
必要なものをプレゼントしてくれる便利な人でもなく
生活費を多めに負担する
共同生活者でもなくなっていた
 
彼女が気持ち良く生きることの邪魔者
自己実現の害
ストレスの対象でしかなかったのだろう
 
それが
彼女の言った言葉
『もう、ウザいんだよ』に表れてる
 
『ここまで来れたのはあなたのおかげです』と
彼女の最後の手紙にあったが
 
それは
本音だろう
 
『ここまで来れた』が
つまり欲しかった
『自己実現の場を手に入れた』なのだ
 
彼女は
僕と出会う前から
自己実現を求め
彼女の人生を生きたかった
 
それで良いと思うし
 
元の旦那さんも
家族とも
そういうことだったのだと思う
 
それだけのこと
 
それにしても
彼女の言葉は
暴力よりきつかった
 
気に入らないことを言えば
『そういうところが嫌』
『聞きたくない』と話すことを拒否
 
最後には
『ウザい』
『この人、頭がおかしい、こっちまで頭がおかしくなる』
と人格全否定
 
もう怖くなってしまって
逃げなきゃと感じて
 
『私が家主なんだから今すぐ出て行って』に
 
もう言う通りにして逃げようと
短絡的な結論を出してしまった
 
タヒねば良いのには
我慢出来たけど
『頭がおかしい』は本当に強烈だった
 
その言葉を
僕に使った人がいるとしたら
トラウマの父親くらい
 
さすがに
父親でさえ
それは言わなかったかも
 
職場の上司や同僚の悪口を
良く言う人だったが
 
それは
僕と同じように
自分の意見や思うことを
諸手で肯定してくれない人へのもの
 
僕はその辺を理解して
彼女の意見を
まずは聞いて
やんわり対応して
こちらが大人になれたら良かったとは思う

でも
父とのトラウマを考えると
どこまで出来たか

回避だけして
結局は
利用価値のある間利用されて
それも無くなればそこで終わり

邪魔にならないよう
家族の前で透明な子供になり
要らない子だった時と同じだ
 
もっと早く
僕は別れることはできたのに
 
そうすれば
ここまで
傷の痛みを感じずに済んだのにな

彼女を愛してしまい
僕の価値観に合う家族だと
勝手に思ってしまった

いずれにしろ
その人の人生はその人のもの

例え
パートナーであっても
最終決定は尊重するしかない

共通の知人家族のN氏夫婦は
将来を私たちで表した
なんかいいなと憧れた

彼女は来年は
家の更新をしないと言った

それを信じて
まだ
動けないけれど

少しずつ動き出して
自信を取り戻したら帰ろう
あの街とあの家へ

それは
今の僕の夢

タイミング次第では
他の人が入居してしまうかも

いつかは
建て替えがあって
長くは住めなくていかもしれない

その時は
その時に考えれば良い
 
きっと、何とかなる