あなたのインスタグラムには
あなたがたくさんあった
たくさんの人と
たくさんの活動をしていて
たくさんの作家活動
たくさんの外での写真
誰かに撮ってもらった
ポートレート
いろんな人と
時には一人で
居酒屋でお酒を飲み
時には毎日の時もあった
家では
見たことのないあなた
僕の知らないあなた
その数を知れば
あなたの中に
僕との時間がないことがわかる
あなたの世界に
僕は存在していなかった
あなたが
夫や子供と別れを決めた頃
僕へのメールには
身軽になって来ますとあった
今度は僕と別れ
身軽になりたいということだ
家や猫より
自分のことが大事なら
あなたは
一人で生きたほうが良いと
僕は言ったことがある
それでも
なんとか折り合いが付くと思い
言い過ぎたと
譲歩して
歩みよったと思う
僕に不足があるとするなら
もっと具体的に
方法を出して
お互いが
納得出来る答えを出すことだったのかも
でも
そうすれば
何かあった時には
あなたは、僕が決めたと言うから
言えなかった
そして
やはり
あれだけ罵倒されると
僕の感情が抑えきれず
あなたの求めるように
1日も早く家を出る行動をとってしまった
猫も家も庭も
取引先のことも考えず
ただ早くと
あなたの
価値観を僕が認めないと言うが
あなたも僕の
価値観を認めなかった
何故なら
あなたは結局変わらないと
僕に言ったからだ
そもそも
価値観を認めていたのではなく
そういう人なんだと思うことで
切り捨ててきた
価値観を受け入れたのではなく
無視してきただけで
どこかで
僕の価値観が
彼女に都合良く変わることを望んだ
僕は
たとえ価値観が異なる二人が
価値観を変えなくても
お互いが歩み寄れば
新しく
家族としての価値観が生まれると思っていた
つまり
家族になれると勘違いした
これも
おそらく家族を知らない僕の
勝手な考えなのかも知れないけど
あたなは
あなたの欲望が最優先だった
あなたの欲望実現に利用出来る人は受け入れる
あなたの欲望実現に邪魔なものは
無視するか切り捨てる
あなたの周りには
そういう人がいるのを知ってる
だから
いろいろなトラブルが起きた
元々
あなたが
他の人と不倫をしていたことや
あなたが
僕とのことで
夫や子供を捨てたことを考えれば
気付けたことだった
一緒に暮らして
うすうす気付いても
折り合いをつけられるかもしれないと
別れを先延ばしにした
あなたを見ているうちに
僕が何も出来なくなったとしても
あなたを見ていられたら良いと思い
いつか
あなたにアトリエ付きの家を
プレゼント出来るようにと思い
僕自身の活動も辞めて
遊ぶこともせず
新しい服も靴も買わず
仕事と家事に時間を充ててきた
お金のかからない
町中華、銭湯、庭を
ささやかな楽しみとし
お金の管理と運用を考えて
準備してきたことも
あなたからすれば
勝手に
僕がやったことにすぎなかったのだ
僕が車を買うことを考えながら
躊躇していたことにも
あなたは
車買うっていって全然買わないと
皮肉を言った
それは
いつでも使うことしか考えていない
あなたをサポートするのは
僕だと言うことを自覚してほしかったからだ
おそらく
僕はそれほど車を使わない
使うとしたら
あなたの出かけるため
あなたは
あなたのために使いたいだけで
そこには僕はいない
家の自転車も
電子レンジも
ガスコンロも
トイレも
お風呂も
布団も
窓も
洗濯機も
使うだけのあなた
あなたが散らかす家では
あなたの捨てる空き缶、ペットボトルが
あなたの用意した
あなた用の紙袋にはち切れそうになる
玄関に置かれてるので
来客時には恥ずかしいから
僕が分別して片付けて
それをあなたに言うと
勝手に僕が片付けてしまうと怒るけれど
やったことに
ありがとうと言わなかった
長く住んでる街なのに
資源ごみの日さえ
資源の分別さえ覚えないあなたは
いつやるつもりだったのか
あなたは
結石で苦しんで夜中に救急車を読んだ時
ショックだったと言った
ご近所があとで詮索して
面倒なので
家の近くではサイレンを決してもらおう
と
僕が言ったこと
苦しんでる私に
そう言ったことで
本当に傷ついたと言った
でもあなたは
夜中に
僕が病院で説明したり
翌日
あなたのためにいろいろ
手続きをしたことは忘れてしまう
あなたが
普段、愚痴を言う
上司や同僚とうまくいかないのは
相手の言動や目先の行動に囚われて
陰でやってくれてることを
観てないから
そう言い返したかったが
また怒るだろうからやめた
同じことをあなたに言ったとして
作家仲間や
親しいギャラリーの方の言葉なら
受け止めるけれど
僕が言えば
上から目線だと不快な顔をする
あなたは
良く
普通という言葉を使うけれど
あなたの普通は
少なくとも
近所の人に聴く普通とは違っていた
インスタグラムでは
人との交流の大切さを
アピールし
感謝する姿を見せているあなたも
家やご近所では
あなたにメリットが少ないからか
積極的ではなかった
だから
近所の人は
あななが
仕事と作家活動をして
僕を扶養してるようにも思われた
あなたは
僕に
外面が良いと言うが
外面という言葉自体
使うことのない世界で生きてきたし
ご近所さんもあなたも
区別ない
あなたが
どういう感覚で
なんでそんなこと言うのか
わならなかった
もしかしたら
しっかり区別して
あなたにメリットを感じさせられたら
良かったのかな
いいえ
全ては
あなたのことを
見極められなかった僕の過ち
付き合い始めた頃のあなたが
雨の日に
傘をもって
駅まで迎えに来てくれたことが
嬉しくて
そして
一つの傘で帰ったのが嬉しくて
その帰り道
三つ先まで
赤信号が緑に変わったことが
嬉しくて
あなたは優しくて
きっとずっと
僕との時間を大事にしてくれる人だと
思い込んでしまった
僕も
ある人と別れて
寂しかったから
余計にそう感じてしまったのだと思う
やはり
僕の過ちだ
あなたが最後にくれた
別れのメモ
ここまで来れたのは
あなたのお陰とあった
ある時には
お金の面では
助かったとも言っていた
お世辞でも
感情のある感謝の言葉でもなく
きっとそれはただの
あなたの事実
あなたは今
本来やりたかった業界の仕事に就き
個人の作家としての活動も忙しくなり
経済的に自立出来るようになった
時代のせいで
好きな仕事に就けず
経済的理由で
自己実現が出来なかったあなた
あなたが離婚したのは
僕のせいだから責任を取れと
言ってたあなたが
別れの時に
初めて本当を口にした
初めに
ちゃんと就職出来てれば
(旦那と)離婚してなかっただろうな
つまり
家族より
自分の欲求の実現が優先で
お金の掛かるあなたは
旦那さんに扶養されてる状態では窮屈だったということ
あなたの自立は
心も身体も弱い僕が
家や資産も残さず亡くなっても
生きていける方法になるから
僕も望んだこと
僕が扶養して
僕に借りを作るように感じになれば
元旦那さんと同じになる
自立を手にしたあなたにとって
家族を求める僕は
妨げになるだけの存在
あなたが言った言葉で表せば
頭のおかしい
ウザい存在
利用価値がなくなった結果が別れ
それにしても
あまりにも長い年月だった
あなたとの未来の暮らしを
生きる拠り所としてきた僕が
それを失った今
僕は
何もない空っぽ
無駄な出費を抑え
仕事と家事しかしてこなかったから
昔やってたことを再開する力も
何かを突き詰める情熱も
何かを始める活力も気力もない
元々
やる気のない
頑張ることが出来ない人間
頑張ってみたけど
心の病で長期入院と
長い闘病が待ってただけだった
もう
僕の人生は
終わったのだろう
あなたの
インスタグラムの写真には
僕が撮ったあなたの写真
僕が撮った猫の写真
僕が用意した旅行での写真
僕のモノ
僕の作ったモノ
僕の育てた樹や花がある
まるで
全てあなたが手掛けたように
利用されているけれど
僕が
工夫して作った
僕のメジロの餌かごは
まるで
自分で材料を集め
作ったかのように
説明をしてる
庭の樹や花たちの
世話などほとんどしないあなたが
それらを語ってる
梅の花の写真
どこかで
沈丁花の香りがすると添えられていたが
庭のことは興味のないあなたには
そのどこかが
うちの庭の一番奥なのも
気づいてない
彼女と暮らした
お気に入りの家と庭
長い月日
本当に
全部記憶から消しさりたい
それくらい
僕には生きた全てだった