子供の頃

家に帰ると

高確率で豚肉の生姜焼きと

母のメモがあった

 

『これを温めて食べなさい』

 

キャベツも温まってしまうが

電子レンジで

そうした

 

飲食店を経営し

料理もする母が

 

魚嫌いの僕を気遣い

僕の好きな

豚の生姜焼きを作ってくれてる

 

そう思っていた

 

ところが

妹から真実を聴かされた

 

母は

料理が好きではない

いつも手抜き

 

家では

楽に出来るものしか作らない

 

豚肉を炒め

黄金の味で絡めて終わり

カレーはジャワカレーの辛口

 

母は

僕の好みを気遣ったのではなく

楽だから

豚肉の生姜焼きだっただけ

 

つまり

僕の豚肉の生姜焼き好きは

 

ずっと豚肉の生姜焼きを

食べてるうちに

 

普段会うことの少ない

母からの愛情と勘違いして

その味を好きになったということ

 

高校で
お弁当を持たされず
毎日1000円支給されてたのも
 
母親が仕事で忙しくて
作らなかったというより
作るのが面倒だったから
 
母の妹の
叔母が死んだとき
 
あなたを育てるのに
一番苦労したのは
あの子だろうねと
他人事のように言ったのも分る気がしてきた
 
確かに
叔母の思い出は多いが
母は少ない
 
叔母と一緒に寝た思い出はあるが
母とは全くない
 
母とはいったい何者なんだろう