曽根圭介さんは2007年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞したミステリ作家。 私は初読みでした。

 

本作は2011年の作品で、これを原作に2021年韓国で映画化もされています。

 

乱歩賞作家による長編ミステリーの傑作。 あの金さえあれば――。 大金の入った忘れ物のバッグを、ネコババしようとする初老の男。 暴力団に2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事。 FXで失敗した借金を返すために、デリヘルで働く主婦。

 

金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく、獣たちの運命は――。 (出版社紹介文)

 

営んでいた理髪店を廃業し、今はサウナ店でアルバイトをしている赤松寛治59歳。

 

暴力団に2000万円の借金をし、返済を迫られている悪徳刑事・江波戸良介38歳。

 

FXで負債を抱え、夫からはDVを受け、デリヘルで働くようになった庄田美奈32歳。

 

これら3人の主人公が徐々に追い込まれ、やがて犯罪に手を染める様子が3つの独立したストーリーとして語られます。 このあたり、奥田英朗さんの『最悪』を思わせます。

 

3つのストーリーが終盤どのように交錯するのか?

 

『最悪』では3人が出会う終盤で一気に物語が加速し、疾走感満点でした。

 

本作でも3つのストーリーが交錯しますが、そこにはさらにトリッキーな仕掛けがあって驚かされます。 それぞれのストーリーがつながって、残されていた謎が一気に解消していく構成は見事でした。

 

いかにも犯罪小説らしいラスト。 でも、自業自得な悪徳刑事・江波戸は別として、赤松寛治と庄田美奈は同情すべき点もあってちょっと可哀そうでしたね。

 

スピード感のある展開、見事な構成と伏線回収。 犯罪サスペンスの傑作でした。

お勧め!