密室殺人のみに焦点を絞ったミステリを収めた、防犯探偵・榎本シリーズの第3作。 4編が収録された短編集です。

 

先日読んだ第2作「狐火の家」や第4作「ミステリー・クロック」では、犯人の出入りが不可能な状況での殺人という、広義の意味での密室も多かったです。

 

これらに比べると本作で扱われるのは、開閉不能となった部屋で人が殺されているという正攻法の密室殺人事件でした。(4編目だけちょっと異なりますが・・・)

 

元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をしたらしい瞬間に偶然居合わせる。 ドアにはサムターン錠がかかったうえ目張りまでされ、完全な密室状態。 だが防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、これは計画的な殺人ではないかと疑う(「鍵のかかった部屋」)。 

 

ほか、欠陥住宅の密室、舞台本番中の密室など、驚天動地の密室トリック4連発。あなたはこの密室を解き明かせるか!? 防犯探偵・榎本シリーズ、第3弾! (文庫裏紹介文)

 

「佇む男」は遺体が邪魔をしてドアが開かなくなった密室、「鍵のかかった部屋」は練炭自殺を偽装し目張りして鍵をかけた密室、「歪んだ箱」は地震によって住宅が歪んでドアの開閉がままならなくなった密室。

 

どの短編もドアを開閉するところに焦点が絞られていて、新しいトリックの考案は難しいと思うんですが、それでも前例のないトリックを創り出している所は凄い!

 

この中ではやはり「鍵のかかった部屋」の凝りまくったトリックが一番かな。 

 

このシリーズで、密室の謎解きと並行して楽しめるのが、ワトソン役の美人弁護士・青砥純子が披露する天然ボケ的?推理です。 毎回披露される青砥のトンチンカンな

推理と、それを聞いて頭を抱える榎本の様子が笑えますね。

 

笑いの要素を推し進めギャグに仕立てたのが4編目の「密室劇場」。 バカバカしさ満載で青砥の推理もぶっ飛び過ぎ、榎本に「休養が必要」とか言われてました(笑)