2020年のミステリランキングを軒並み席巻した「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」の続編です。
前作はどんでん返しの連続で、とにかく驚かされたのですが本作はどうでしょうか。
綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。 アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。 だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。 大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。 すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか？ （BOOKデータベースより）
前作は長編でしたが本作は短編集で、「雲上の晴れ間」、「泡沫の審判」、「信用ならない目撃者」の3編が収録されています。
タイトルに倒叙集とあるように、最初に犯人が犯行を行う場面が描かれ、その後探偵である城塚翡翠が犯人をつきとめるという形式。 コロンボや古畑任三郎ですね。
「雲上の晴れ間」と「泡沫の審判」は正統派の倒叙ミステリで、完璧な犯行計画のわずかな綻びから、城塚翡翠が解決に導くという流れです。
2作とも倒叙ミステリらしく犯人を追い詰めていくサスペンスと、決め手となるロジカルな推理は読んでいて楽しいのですが、前作のようなトリッキーな驚きはありませんでした。
やはり前作には及ばないのかな（ちなみに前作は”このミス”１位、本作は６位）と思っていたら、3編目の「信用ならない目撃者」で見事に驚かされました。
犯人は元警視庁捜査一課の刑事で、人を殺す術や殺人者を追う手法を知り尽くした人物です。 さすがの城塚翡翠も苦戦を強いられている様子。 しかし絶体絶命と思われたところからの逆転劇が強烈でした！
本作も前作に劣らない面白さでお勧め！ ただしネタバレになるので、前作から順に読んでください。