一月に読んだ駅伝小説「タスキメシ」の続編です。

 

前作で駅伝ランナーとしての夢をあきらめた主人公・眞家早馬が、今度はコーチ兼栄養管理として箱根駅伝初出場を目指す弱小チームのサポートに回ります。

 

前作では駅伝レースシーンが少なく、ちょっと物足らなかったんですが、本作は「箱根」の文字がタイトルに入っているので期待して読みました。

 

大学卒業後、管理栄養士として病院で働いていた眞家早馬は、紫峰大学駅伝部のコーチアシスタント兼栄養管理として、部員たちと箱根駅伝初出場を目指すことになる。

 

数々の挫折を経験した者として部員たちに寄り添い、食の大切さ、目標達成の楽しさを伝えようと奮闘する早馬。 そんな彼のことをキャプテンの4年生、仙波千早は最初は受け入れられずにいたが……。 (BOOKデータベースより)
 

東京オリンピックの日本代表を決めるMGC、箱根駅伝の予選会、そして箱根駅伝本番と臨場感のあるレースの描写が味わえます。 それぞれのデッドヒートシーンには胸が躍りました。 やはり駅伝小説はこうでなくては!

 

しかしそれ以上に印象に残ったのは、数々の挫折を経験してきた眞家早馬の言葉。

「どんなに気をつけてても、いきなり怪我するんだよ。 せっかくエントリーしてもらえた駅伝の、本番一週間前に怪我したりするんだよ!」

 

そして、大学時代に眞家早馬とずっと一緒だったチームメイト・藤宮の言葉。

「俺、それまでは努力は報われるものだと思ってた。 報われないってことは、まだ努力が足りないんだって。 でも、大学四年間、眞家とずっと一緒にいて、努力が報われるのはただ運がよかっただけなんだって気づいた。 努力は大体、報われないんだ」

 

あまりにも厳しい現実。 努力しても報われなかった時に、自分とどう向き合うのか? これが本作のテーマなのだと思います。

 

ラストで東京オリンピックの代表選手が眞家の知り合いであることが示唆されます。 弟の春馬か? 高校時代のチームメイト・助川か? 藤宮か?

 

これは次作「タスキメシ 五輪」も読まざるを得ませんね。