最近はどれを読んでも面白いので、お気に入り作家になっている宇佐美まことさん。

 

今回は小笠原諸島を舞台にしたストーリー。 小笠原諸島に関連する書籍を読むのは初めてでした。

 

1840年、気仙沼から出航した五百石船・観音丸は荒天の果てに、ある島に漂着する。そこには、青い目をした先住者たちがいた。 彼らは、その地を「ボニン・アイランド」と告げた。


時を隔てた現在。すべてを失った中年男は、幼少期、祖父が大切にしていた木製の置物をふとしたことで手に入れる。 それを契機に記憶が蘇り、彼は、小笠原行のフェリーに足を向けた。 物語は、ゆっくりと自転を始める。 (BOOKデータベースより)

 

物語の幕開けは江戸時代の終わり、気仙沼から江戸へ向かう観音丸という船が遭難し、小笠原諸島(ボニン・アイランド)に漂着するところから始まります。

 

島での生活、先住している外国人との交流、帰国の試みなどなど、7人の乗組員の中で最も若い吉之助を主人公にしたストーリーはドラマチックで、読み応えがあります。

 

この部分だけで一冊の時代小説にする手もあったと思うんですが、ミステリ作家の宇佐美さんは、ストーリーに現代の2つのパートを差し込んで、さらに壮大なドラマを読ませてくれました。

 

幕末から戦中・戦後の小笠原諸島の歴史、そこに生きる人々の想いが現代にまでつながって、様々な人間ドラマに昇華。

 

やはり最近の宇佐美まことさんは、単純なミステリ小説以上の物語を読ませてくれますね。 お勧め。