天才&変人女医の天久鷹央が奇妙な事件を解き明かす医療ミステリ。 第1作第2作と面白かったので、第3作の本作を読んでみました。

 

呪いの動画によって自殺を図った女子高生。 男性に触れられた瞬間、肌に異常をきたす女性。 そして、密室で溺死した病院理事長の息子……。 常識的な診断や捜査では決して真相にたどり着けない不可解な事件。

 

解決できるのは、怜悧な頭脳と厖大な知識を持つ変人女医・天久鷹央(あめくたかお)、ただ一人。 日常に潜む驚くべき“病”と事件の繋がりを解明する、新感覚メディカル・ミステリー第3弾。 (文庫裏紹介文)

 

2作の短編と中編という構成です。

 

『閃光の中へ』

「呪いの動画」を見た女子高生・真冬がフラフラとホームから線路に転落。 間一髪で電車には轢かれなかったが、どこからか声が聞こえてきて、気が付いたら線路の上にいたという。 さらに、双子の姉・真夏も同じような行動を!

 

『拒絶する肌』

男性に触れられると痒くなり、ひどいときには意識が遠くなるという、男性恐怖症の患者・岡崎雅恵が来院した。 確かめるため男性研修医と握手をさせると、握手をした掌が真っ赤に腫れ上がり、まるで火傷をしたようになって・・・

 

『密室で溺れる男』

桑田病院の理事長・桑田隆一郎が自宅で開いた三十五周年パーティー。 そこに、親子の縁を切った息子・大樹が現れ、パーティーは滅茶苦茶に。 その後、大樹は鍵がかかった書斎で死亡してしまう。 その死因はなんと溺死だった!

 

それぞれに奇妙な事件ですが、天久鷹央の推理と医学知識で解決していきます。 特に本作の半分を占める中編『密室で溺れる男』は、まるで島荘作品のような不可解で非現実な謎。

 

これどうやって解決するのか?と思いましたが、なるほどそう来ましたか・・・

 

鷹央に振り回されつつサポートする小鳥遊医師の異動の話も持ち上がり、2人の絆の強さも確かめられた1作でした。 高レベルのシリーズで、今後も追って行きます。