白井智之さんは、1990年生まれの若いミステリ作家。 「人間の顔は食べづらい」、「東京結合人間」、本作「おやすみ人面瘡」と、怪しげなタイトルのミステリを連発しつつ、毎年のようにミステリランキングの上位にランクインしています。

 

先日の”このミス”でも「名探偵のいけにえ」が2位になっていて、何か1作読みたいと思っていました。

 

全身に“顔”が発症する奇病“人瘤病”が蔓延した日本。 流行は落ち着いたが、“人間”と呼ばれる感染者たちが起こす事件は社会問題となっていた。 そんな中、かつて人瘤病の感染爆発があった海晴市で起きた“人間”殺害事件。

 

ひとりは顔を潰され、もうひとりは全身を殴打されていた。容疑者は第一発見者を含む4人の中学生。そこへ現れた男が事件の真相を見抜くものの、彼も容疑者のひとりに突き飛ばされ死亡してしまい!? (文庫裏紹介文)

 

上記紹介文にあるように、全身に人面瘡ができる奇病が蔓延するという超絶な特殊設定。 さらに、冒頭から人面瘡のある風俗嬢相手にサディスティックなプレイがくり広げられる描写・・・と、これはとんでもない作品を選んでしまったと思いました。

 

その後も、グロテスクで気味の悪い描写が頻出し、後で知ったのですが綾辻行人さんは『鬼畜系特殊設定パズラー』と名付けたそうで、さもあらんかな。

 

それでも我慢して読んで行くと、後半は”パズラー”の部分が大爆発!

 

周到に、そして大量に張り巡らされた伏線が怒涛の勢いで回収され、どんでん返しが連続し、探偵役は入れ替わりつつ推理を披露します。

 

誰が真打ちの探偵なのか? そして真相は?

 

鬼畜でグロテスクな描写と、ロジカルで高度な本格ミステリが同居するという稀有な作品でした。 前半を読んだところでは、もう白井作品は読まないと思いましたが、後半で考えが変わりました。

 

グロ描写OKの本格ミステリファンなら是非お勧めです!