「小麦の法廷」が文庫化されたので買ってきました。 木内作品は、今年もう7作目。

 

本屋やBOOKOFFで未読の作品(文庫のみ)を見つけたら即買い! というのは木内一裕さんの小説だけかもしれません。

 

杉浦小麦、二十五歳の女性弁護士。 初めての担当は仲間内で起きた傷害事件。 罪を認める被疑者との面会を終え拘置所を出た小麦は、大勢のマスコミに囲まれてしまう。

 

「あなたは、殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか!?」 彼女が偶然引き受けた国選弁護の仕事が世間を震撼させる大事件へと変貌する。 (文庫裏紹介文)

 

主人公の小麦は、司法修習期間を終えたばかりの新米弁護士。 国選弁護人として選んだのは、仲間内の喧嘩沙汰による傷害事件で、目撃者もおり、被告人も犯行を認めているという案件です。

 

初めて扱う刑事事件なので、楽な事件を選んだつもりが・・・なんとこれ、3人を殺害した犯人のアリバイを作るために仲間が仕組んだ偽装事件だったのです。

 

これをマスコミに嗅ぎ付けられ、窮地に追い込まれた小麦がどのように反撃していくかというストーリーも面白いですが、何より登場人物のキャラ立ちが絶妙でした。

 

主人公の小麦は、小柄で童顔。 「カワイイ弁護士さんだね」と言われるたびに心の中で「このカワイイは、幼いという意味だろうか?美形という意味だろうか?」と悩んだりしていて可愛らしい。

 

しかしその一方で、高校時代はレスリングのオリンピック候補と言われ、技術や身体能力で優る相手に、メンタルの強さで打ち勝って来たという、硬軟併せ持つキャラが良いですねー。

 

小麦以外にも、元弁護士の小麦の父親・磯村、前科18犯の服役者・菅原、誠実な所轄署刑事・三村や、裏社会のメンバーまで、キャラ立ちしている人物が目白押しで、一作で終わるのが勿体ない。 シリーズ化希望です。

 

小麦の抱えるもう一つの案件が、行方不明の相続人探し。 並行に語られる2つの事件は絶対に繋がらないなと思っていたら、ラストで強引につながったのも面白かった。

 

スピード感あり、エンタメ要素あり、ラストは爽快! お勧めです。