2022年の情報セキュリティ10大脅威というものが発表されており、個人向けの第3位までが下記。

 第1位 フィッシングによる個人情報等の詐欺

 第2位 ネット上の誹謗・中傷・デマ

 第3位 メールやSMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求

 

本作は2017年の作品ですが、まさにこれらの脅威が現実になるストーリーでした。

 

麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。 拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。 麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。

 

セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。 一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され・・・・。 (文庫裏紹介文)

 

ターゲットとなるのは、美貌のアラサー派遣社員・稲葉麻美。 麻美は、比較的セキュリティ意識が高く、おかしいと思ったらパスワードを変更し、SNSには安易に生年月日表示を行いません。

 

しかし、セキュリティ意識が低い彼氏のスマホを、犯人に拾われることから、麻美の個人情報が徐々に明らかになっていくのです。 特に、フェイスブックを利用して知人になりすまし、騙していく方法は実際に使われてるかも。 怖いですねー(淀川長治調で(笑))。

 

ミステリとしても、一旦解決したかような状況からどんでん返しが連続していて面白かったです。

 

ただ、犯人、麻美、警察という3つの視点が入れ替わりつつ進行していくのですが、犯人や麻美の視点での緊迫感・スピード感が、警察視点の場面ではどうにも希薄で、ブレーキがかかっていました。

 

やはり、一番の読みどころは偶然拾ったスマホから、これほどまでの犯罪につながっていくという、ハッキング手法の積み重ねでしょうか。 改めて自分のセキュリティをしっかりせねば!と思わせてくれました。