相沢沙呼さんは、1983年埼玉生まれの推理作家。 女性っぽいペンネームですが男性です。

 

私の初読みは非ミステリの「小説の神様」で、この作品は非常に面白かったですが、やはり本領はミステリ。 2019年刊行の本作は、2020年のミステリランキングを軒並み席巻した話題作です。

 

死者が視える霊媒・城塚翡翠(じょうづかひすい)と、推理作家・香月史郎。 心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。

 

証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。 だがその魔手は彼女へと迫り――。 ミステリランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作! (文庫裏紹介文)

 

第1話 泣き女の殺人

第2話 水鏡荘の殺人

第3話 女子高生連続絞殺事件

最終話 VSエリミネーター

 

若くて美しい霊媒師の城塚翡翠は、霊感によって犯人を見抜いたりするのですが、それだけでは何の証拠能力もないため、香月が後付けで論理的説明を加えます。

 

このパターンで第1話~3話は、警察を導いて事件を解決に持っていきます。 さらに、各話の間に挟まれたインタールードでは、若い女性ばかりを狙う連続殺人鬼が、ついに翡翠をターゲットにしたことがわかります。

 

そして最終話VSエリミネーターで、連続殺人鬼との対決となり・・・・・どんでん返しが連続して炸裂するのです!

 

1つめのどんでん返しは、各インタールードを読んでいると予測できるもの。 でもこれで読者を油断させておいてから、次のどんでん返しが来るので衝撃が半端ないです。

 

綿密な論理構成だと思えた第1話~3話が、根底からひっくり返されるのには呆然としてしまいました。

 

相沢さんの文章は読みやすく、ラノベ的なキャラクター描写も魅力的です。 しかし、それも相沢さんの仕掛けた伏線の中にあるので油断できません。 続編も既に出ていますが、翡翠はどんなキャラクターで登場するのだろうか・・・・

 

とにかく、ミステリファンなら読み逃せない傑作だと思います。 お勧め!