5年ほど前にミステリ小説の舞台をテーマにして記事を書いたことがあります。 学校や駅、病院、野球場、空港、果ては宇宙まで、様々な場所が舞台のミステリ小説を紹介しました。

 

が、1つ忘れていた場所があって、それは・・・・・動物園!

 

ということで、今回は似鳥鶏さんの「午後からはワニ日和」を紹介します。

 

「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」 凶暴なクロコダイルをどうやって?  続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。

 

獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ。 (文庫裏紹介文)

 

『のたのたクロコダイル』、『ごろごろポットベリー』、『ばさばさピーコック』、『がっかりホモサピエンス』という目次から軽い連作短編かと思ったら、結構がっつりした長編ミステリでした。

 

イリエワニ、ミニブタ、雌クジャクが次々に盗まれる真相、「怪盗ソロモン」の本当の目的、意外な犯人など、ミステリとしての骨格がしっかりしているし、飼育員視点から見た動物園の舞台裏も興味深かった。

 

何よりも、主人公の飼育員・桃本の淡々としつつユーモアをまじえた語り口や、主要登場人物間のテンポのいいボケツッコミ。 市立高校シリーズもそうですが、似鳥さんのユーモアミステリは面白いです。

 

市立高校シリーズと比較すると、トリックのスケールの大きさ、超人的な探偵役の不在という点でちょっと見劣りするのですが、それでも十分満足できる作品でした。 シリーズ化されているようなので、追っていきたいと思います。

 

ミステリーの舞台

 

ミステリーの舞台 その2