ブラジルの作曲家、ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ 第5番」です。

 

ソプラノ独唱とチェロの八重奏という変わった構成の曲ですが、ソプラノの憂いに満ちた郷愁を誘うようなヴォカリーズは一度聴いたら忘れられません。 まずは聴いてみてください。↓

 

↑アナ・マリア・マルティネス(ソプラノ)/ドゥダメル指揮ベルリンフィルチェロ奏者

 

ヴィラ=ロボスは、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで1887年に生まれました。 時代的にはストラヴィンスキーの5年後、ガーシュインの11年前になります。

 

ブラジル最大の作曲家として交響曲・協奏曲から室内楽曲・ピアノ曲まで膨大な作品を残しましたが、その中でも最も有名なのがこの「ブラジル風バッハ 第5番」です。

 

ブラジル風バッハは、第1番から第9番まで9曲あり、それぞれ楽器編成が大きく異なり、プレリュード、アリア、トッカータ、フーガなど、バッハの組曲風ネーミングがされています。

 

第5番は、第一楽章のアリアと第二楽章の踊りからなりますが、やはり強く印象に残るのは第一楽章の冒頭からチェロのピチカートに乗って歌われるヴォカリーズ(歌詞のない母音唱法)でしょう。

 

ヴォカリーズというと、ラフマニノフのヴォカリーズを思い出します。 どちらもロマンチックで美しい旋律ですが、ブラジル風バッハのほうはなんとなく南米的な物憂さも感じられるのは、先入観もあるのかな。

 

マディ・メスプレ(ソプラノ)/カポロンゴ指揮/パリ管弦楽団

ブラジル風バッハの2番、5番、6番、9番が収録されています。 CDはこれしか所有しておらず、まだ全曲聴いたことがありません。 このCDを聴くと5番はもちろん2番も面白いし、9番のフーガはまさにバッハ。 一度全曲聴きたいと思っています。