似鳥鶏(にたどりけい)。 なかなかユニークなペンネームですね。

 

最近、似鳥さんの作品を書店やブログでよく目にするので、何か一作読みたいと思っていたのですが、ようやく読むことが出来ました。 本作は似鳥さんのデビュー作。 2006年、似鳥さんが大学院在学中に執筆して鮎川哲也賞に佳作入選した作品です。

 

芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい――吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。 幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 新鋭が放つコミカルな快作。 (文庫裏紹介文)

 

高校の文科系クラブが舞台の学園ミステリとしては、米澤穂信さんの「古典部シリーズ」や初野晴さんの「ハルチカシリーズ」などがありますが、本作もこれらに負けないレベルの高い作品でした。 シリーズ化もされているようです。

 

冬の芸術棟に毎日のように起こる不思議な出来事。 その種明かしはそれほど驚くようなものではないんですが、その奥に隠された動機が面白く、2段構え、3段構えで楽しませてくれます。 「理由(わけ)あって冬に出る」というタイトルも決まってますね。

 

これ、2作目も読んでみたいと思っています。 「古典部シリーズ」や「ハルチカシリーズ」もしばらく遠ざかっているので、読んで比較するのも興味深そうです。