屍人荘の殺人 屍人荘の殺人
 
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「このミステリーがすごい!」、「本格ミステリ・ベスト10」、「週刊文春ミステリーベスト10」という国内三大ミステリランキングで、昨年いずれも第1位に輝いた作品です。

 

しかも、これが作者のデビュー作であり、デビュー作で三冠獲得は史上初だそうです。

 

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。 合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。

 

緊張と混乱の一夜が明け――。 部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。 しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった・・・! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか? 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作! (BOOKデータベースより)

 

タイトルからして、いわゆる館もの。 孤島の別荘とか、雪の山荘とか、いわゆるクローズド・サークルで連続殺人が起こる小説だと思って読んでいました。

 

しかし、そのクローズド・サークルになる理由が前代未聞。 92ページからの展開には驚愕させられます。 このあたりネットで感想とか読むとすぐネタバレするので、是非予備知識なしで読んで欲しいです。

 

また、いかにも探偵キャラの明智恭介(明智小五郎+神津恭介?)が早々と××してしまい、この物語はどうなってしまうのだろうと思いつつ読み進めると・・・・・

 

後半は一転してロジカルな本格ミステリとなり、連続殺人事件はあくまでも論理的に解決される。 なるほど、これが奇想と本格ミステリの融合なのか・・・・と納得しました。

 

前半のぶっ飛んだ展開と後半の端正なミステリ。 このギャップが新しい。 面白く読めました。 

 

ただ、ミステリランキング三冠というと、「容疑者Xの献身」とか、「十角館の殺人」とか、「占星術殺人事件」クラスの大傑作を期待してしまいますが、それほどではないかな。