撃てない警官 (新潮文庫)
594円
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安東能明さんは、1956年生まれ。 市役所勤務の傍ら執筆活動を続け、1994年に日本サスペンス大賞受賞、2000年に市役所を退職して専業作家となっています。
その作品は初読みですが、本作を始めとする警察小説のシリーズは結構評判が良いようなので、一度読んでみることにしました。
総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。 柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。 だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。
捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。 泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。 日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録、あなたの胸を揺さぶる警察小説集。 (文庫裏紹介文)
エリート警察官が不祥事の責任をとって所轄に左遷されるというのは、今野敏さんの隠蔽捜査シリーズを思わせますし、警察組織内部の軋轢や葛藤を描いている点では横山秀夫さんの警察小説にも似ています。
ただし、隠蔽捜査の主人公・竜崎のように際立ったキャラクターの活躍はありませんし、横山作品のような切れ味の良い謎解きもありません。
主人公の柴崎令司も、正義感溢れる部分と昇進を望む利己的な部分が同居していて、どうもすっきりしません。
しかし、こういうサラリーマン的警察官のほうが実際に近いのかもしれませんね。 ある意味、身近に感じて親近感が湧きます。 比較対象が傑作すぎましたが、警察小説としてのまとまりはあって楽しめました。
ということで、このシリーズはしばらく追っかけてみようと思いました。