――2015年7月20日投稿―――2024年5月17日更新――
エルガーはイギリス近代の作曲家で、以前に「エニグマ変奏曲 」と「愛の挨拶 」を紹介しました。
しかしエルガーの最大の人気曲というと、やはり行進曲「威風堂々」ですね。 遺作も含め6曲ある中で第1番は、中間部に歌詞が付けられてイギリスでは第2の国歌とまで呼ばれています。
日本でも、スポーツイベントの入場曲やCM、映画・ドラマの主題歌など、数限りなく使用されています。 最近ではドラマ「天皇の料理番」のオープニングがこれでした。
原題は、「Pomp and Circumstance」といい、直訳すると Pomp(壮麗)で Circumstance(ものものしい儀式や行列)と言うような意味なのですが、「威風堂々」は上手い訳ですよね。
迫力がありキビキビした冒頭から主部。 そしてぐっとテンポを落とし威厳と気品を持った中間部の旋律は、まさに「威風堂々」という言葉がそのまま音楽になった感があります。
↓「威風堂々」第1番を、サカリ・オラモ指揮/BBC交響楽団の演奏で
第1番があまりにも有名なために目立ちませんが、第4番も第1番と肩を並べるような素晴らしい作品です。 中間部は、モックンが出ていたトヨタホームのCMに使われていました。
↓「威風堂々」第4番を、ポール・ダニエル指揮/BBC交響楽団で
「ブラス!」は1996年製作のイギリス映画。 閉鎖に追い込まれる炭鉱町と、抗夫たちで構成されるブラスバンドの物語です。 「アランフェス協奏曲」、「ダニー・ボーイ」、「ウィリアムテル序曲」、そしてラストの「威風堂々」第1番と、印象的な演奏シーンが満載の音楽映画です。
しかし、安易なハリウッド映画のようにすべてがハッピー・エンドではなく、クライマックスのブラスバンド・コンテストの後も、炭鉱町の閉鎖という切ない思いは変わりません。 音楽映画がお好きなら一度観てほしい作品です。
CDは下記のようなものを所有しています。
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンガリー生まれのショルティですが、後年イギリスに帰化し”サー”の爵位も与えられています。 それだけに、ロンドン・フィルを指揮したこの演奏は、威厳と風格を感じさせる圧倒的名演です。
ネヴィル・マリナー指揮/コンセルトヘボウ管弦楽団
イギリス人指揮者・マリナーとコンセルトヘボウの演奏で、威風堂々の1番、2番、4番が収録されています。 ホルストの「惑星」も含め名盤だと思います。