狼花 新装版: 新宿鮫9 (光文社文庫)/大沢 在昌
¥994
Amazon.co.jp
    
私がブログを始めたのが2011年。 その年の6月に新宿鮫シリーズの10作目「絆回廊」が刊行されました。 新宿鮫はとにかく息の長いシリーズで、初期の作品が書かれたのは20年くらい前。 内容を忘れてます。
    
節目となる10作目を読む前に、それまでのストーリーを思い出そうと、シリーズの再読を始めたのですが・・・・・。 ようやく3年半かかって9作目の「狼花」に辿り着きました。 長かったー!
    
大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し、盗品を専門に売買する「泥棒市場」の存在を突き止める。 この組織の背後には鮫島の宿敵・仙田がいた。
    
一方、鮫島と同期でキャリアの香田は新設の組織犯罪対策部の理事官へ異動。 香田は外国人組織撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。 シリーズ最大の問題作。(文庫裏紹介文)
     
10作目が節目と書きましたが、9作目のこの作品もシリーズの流れの中で大きな節目を迎えています。
    
5作目の「炎蛹」以降、鮫島の宿敵として度々登場してきた国際犯罪者・仙田。 そして、鮫島と同期のキャリアで犬猿の仲である香田。 シリーズの準レギュラーとも言える彼らとの決着がつけられるのです。
     
本作のヒロインと言うべき中国人女性・明蘭の造形も良く描かれています。 あくまでも自立した人間として生きることに価値を見い出そうとする明蘭と、彼女を愛するが故、守るべき存在としか見ようとしない2人の男性との考え方の相違が印象的です。
    
また、外国人犯罪組織を排除するためには暴力団と手を組むことも辞さないという香田。 あくまでも理想の正義を追い求める鮫島。 同じく市民の安全を願いながら考えが異なる2人。
    
そんな様々に食い違った思いがクライマックスでどのように収束していくか? いつもながら新宿鮫の終盤は一気読み。 じっくりと語られてきた物語が一気に緊迫するラストシーンは、シリーズでも屈指の高揚感でした。
      
3年半かかったとはいえ、仙田や香田が登場した作品を再読してきたおかげで、初読の時よりも楽しめたような気がします。 やはりシリーズ物はまとまって読んだほうが良いですね。