――2014年1月19日投稿―――2023年11月1日更新――
作曲家が恋人に曲を捧げるというのは、クラシック界ではよくある話なんですが、あんまり良い結果に結びついた例は少ないように思います。
ベートーヴェンやショパン、ブラームスなどは、結局失恋してしまいますし、ドビュッシーなんかだと、そもそも不倫なので、何をか言わんやですね(笑)
そんな中、エルガーが婚約者アリスに贈った「愛の挨拶」のエピソードは素敵です。
エドワード・エルガーは、1857年生まれのイギリスの作曲家で、第2のイギリス国家と言われる行進曲「威風堂々」や「エニグマ変奏曲」 などが有名ですが、若い頃はピアノやヴァイオリンの教師で生計を立てていました。
エルガーが29歳の時、彼のピアノ教室の生徒だった陸軍少将の娘、キャロライン・アリス・ロバーツ(38歳)と熱烈な恋愛をします。
地位も名誉も財産もない一介の音楽家との結婚。 しかも8歳もの年の差があって、周囲は大反対しますが、2人はそれを押し切って婚約します。 その時にエルガーがアリスに贈ったのが「愛の挨拶」という曲です。
3分ほどの短い曲ですが、アリスへの優しい気持ちが伝わってくるようです。
↓ヴァイオリン版
↓オーケストラ版
結婚後アリスは、まだ無名だった夫の才能を信じ、貧しいながらも暮らしを支え続け、作曲活動にもインスピレーションを与えました。 そして10年後、アリスの気に入ったメロディを元に作曲された「エニグマ変奏曲」が大成功し、エルガーの名前は世界的に知られることとなるのです。
エルガーは、自身の音楽を賛美する人に向かって、「私の作品を愛するなら、まず妻アリスに感謝するべきだ」という言葉を残しています。
国から”ナイト”の称号を贈られたエルガーですが、遺言で”ナイト”の人々だけが埋葬される栄誉ある墓地に入ることを拒み、妻と一緒に仲良く埋葬されているということです。
のだめではヨーロッパ編前編に登場。 ターニャの部屋を訪れた千秋が真っ赤なボルシチをご馳走される場面に流れていました。
千秋: 「なぜこんなことに・・・しかもボルシチ」
ターニャ: 「うれしいなー。 新しい友達ができて。 彼氏と別れてから、ほんとはずっと寂しくて。 17の時、パリに来てからずっと付き合ってた彼氏だったから」
千秋: 「音楽の勉強をするために若いうちから一人で・・・・」
ターニャ: 「どうすればいいんでしょうね。 バカンスは」
千秋: 「ピアノ弾いてよ。 是非聴きたいな」
ここでは、「愛の挨拶」がターニャの愛のテーマといった感じで使われていました。 でも、この後、ターニャがピアノを弾くと、大変なことになるのです。
知りたい人は(笑)→英雄ポロネーズ
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)、フィリップ・モール(ピアノ)
チョン・キョンファの柔らかく艶のある美音が、この優しく甘いメロディーを夢見るように歌い上げます。 でも、決して崩しすぎることなく、きっちりと節度を保っているところが良いですね。