弁護側の証人 (集英社文庫)/小泉 喜美子
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ミステリーの醍醐味の一つに、物語終盤でのどんでん返し、驚きの真相というものがあります。 これまで見ていた風景が一変し、読者は思わずページをさかのぼって読み返してしまうようなトリック。
   
最近読んだものでは、道尾秀介さんの「カラスの親指」や法月綸太郎さんの「頼子のために」がそういうミステリーでした。
   
今回紹介する小泉喜美子さんの「弁護側の証人」は、驚くべきトリックを駆使した1963年の作品。 しかし、長らく絶版になっていたため、、知る人ぞ知る伝説の名作と言われていました。
    
その後2009年に集英社文庫で復刊したときの解説は道尾秀介さんが書いていて、道尾さんのこの小説に対するこだわりがわかる解説になっています。  あらすじは次のようなもの。
   
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ヌードダンサーのミミィ・ローイこと漣子(なみこ)は、八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗ります。 新しい生活は彼女にとって必ずしも居心地のいいものではありませんでしたが、愛する杉彦と一緒になることが出来て幸せでした。
  
しかし平穏な新婚生活は長く続きませんでした。 義父である当主・龍之介が何者かに殺害されたのです。
    
真犯人は誰なのか? 漣子の決死の戦いが始まります・・・・
   
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冒頭での拘置所の面会場面から、偶数章は「わたし」という漣子の一人称で現在が語られ、奇数章は「彼女」という三人称で過去が語られるという、こった構成になっています。
   
しかし、漣子というヒロインの人物造形が巧いためか、読者は物語の中にすんなりと入り込むことができ、彼女の運命が気になってどんどん読み進めることが出来るでしょう。
   
そして・・・・・・   いきなり訪れる驚きとともに見えていた光景が一変します。 読了後はページをさかのぼって、読み返さざるを得ないでしょう。
    
半世紀前に書かれたとは信じられないような巧緻な作品。 ミステリーファンには、お勧めですし、ミステリーフリークならば、読んでおくべきだと思います。