―――2011年3月18日投稿―――――――2021年3月4日更新――――――

 

これまであまり知られていなかったのが、「のだめカンタービレ」で使われて有名になった曲が何曲かありますが、ドヴォルザークのチェコ組曲はその代表格です。

 

ドラマ冒頭のプラハの場面で、ヴィエラ先生が指揮する叙情的なメロディー、これがチェコ組曲の第2曲「ポルカ」です。


チェコ組曲は、ドヴォルザークが出世作となった「スラヴ舞曲」に引き続いて作曲した管弦楽曲集で、美しいメロディーと、スラヴ舞曲にも通ずるリズミカルな部分も持った佳曲だと思います。 これまでは何故かあまり知られていませんでしたが、「のだめ」のおかげで有名になりましたね(^_^)

 

チェコ組曲は下記の5曲から構成されています。

第1曲「前奏曲」  :牧歌的ムードで始まる前奏曲

第2曲「ポルカ」   :メランコリーなメロディーで開始され、中間部は明るい音楽。 のだめ使用曲。

第3曲「メヌエット」 :クラリネットが美しく響く、素朴で民族的な感じのするメヌエット

第4曲「ロマンス」  :フルートが弦をバックに感傷的に歌う夜想曲

第5曲「フィナーレ」 :民族舞曲フリアントの弾むようなリズム感に溢れた終曲。 のだめ使用曲。

 

のだめカンタービレでは、準主題曲と言えるほど多くの場面に登場しています。

 

第1話:

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冒頭、プラハのシーン。 ヴィエラ先生指揮でオーケストラがチェコ組曲「ポルカ」を演奏します。

 

「親愛なるヴィエラ先生。 先生が指揮するプラハ、ドヴォルザークホールでの公演。 今年こそまた見に行きたかった。 なぜ僕はここに居なければならないんでしょうか?・・・・・・・・」

 

演奏は、「ポルカ」から「フィナーレ」に移ります。

 

「・・・・・・俺はすぐに音楽に夢中になった。・・・・・・そして父と離婚した母と共に日本に帰ることになった俺は・・・それから10年。 なぜ僕はここに居なければならないんでしょうか?」

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第2話:

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Aオケのリハーサルで第九の冒頭を聴いた千秋。 真澄ちゃんのパフォーマンスに辟易しながらも、

 

「目をつぶって聴いていれば最高だったのになー。 やっぱりオーケストラっていいよな。 俺はまた見ているだけか」

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第10話:

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千秋はついにR☆Sオケをやめてヨーロッパに行く決心をし、佐久間に後任の指揮者を探してもらう。

 

「みんなにもちゃんと話さないと。 俺も居なくなるってことを」
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千秋がヴィエラ先生を回想するシーンには、もちろんこの曲が出てきます。

でも、それだけではなく、千秋のヨーロッパで指揮をすることに対する憧れ。 そしてそれが出来ないことへのジレンマなど、のだめ前半の大きなテーマである「千秋はヨーロッパに行けるか?」。 このテーマの重要な場面で叙情的な「ポルカ」が流れるのです。

 

↓ヴァーツラフ・ノイマン指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 

チェコ組曲のCDは、やはりマイナーな曲であるためかそれほど多くは出ていないようです。

 

アンタル・ドラティ指揮/デトロイト交響楽団

ドラティは、ハンガリー生まれで、後にアメリカに帰化して活躍した指揮者で、オーケストラのコントロールには定評があります。 この演奏、「ポルカ」はのだめで流れていた演奏と同様、生き生きした少し速めのテンポ。 でも、こちらのほうが響きが明るくてリズムが軽い感じがします。 そのため旋律が良く歌っており、聴いていてとても気持ちがいいです。 「フィナーレ」も優美で軽いのですが、フリアント舞曲のリズムが高揚しているところの盛り上げ方は、さすがハンガリー生まれという感じです。

 

ヴァーツラフ・ノイマン指揮/チェコフィルハーモニー管弦楽団

ノイマンは、1968年から20年以上に以上にわたってチェコフィルの常任を勤めた指揮者で、チェコの本場の音楽というとこのコンビがまず頭に浮かびます。 この盤は、ドラティ/デトロイト響と比べると、全体にゆったりとしたテンポをとっており、曲をじっくりしみじみと聴かせるタイプの演奏です。 チェコフィルの弦が美しく、抒情的なムードもたっぷりです。

 

¥3,000

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ズデニェク・マーツァル指揮/チェコフィルハーモニー管弦楽団
のだめのヴィエラ先生は、ノイマンと同じくチェコの指揮者であるズデニェク・マーツァルが演じており、チェコ組曲の演奏も彼が行っています。 私はこの盤を持っていませんが、のだめオリジナルということで挙げておきます。 のだめで聴いたとおり、自然でなおかつ生き生きとした演奏。