岡崎琢磨さんは、『珈琲店タレーランの事件簿』で有名なミステリ作家ですが、私は初読みでした。

 

大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。 それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。 「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪に、突然こう告げる。

 

「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」―。 削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか…その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。 (出版社紹介文)

 

2063年に発見されたミステリ作家の遺稿『鏡の国』が作中作として、作家の姪が読み進む形でストーリーが進展していきます。

 

遺稿『鏡の国』の舞台は2020年代の福岡。 テーマとなっているのはルッキズムでした。

 

「身体醜形障害」に悩まされている香住響、火事で顔に火傷を負った新飼郷音、先天性の「相貌失認」である吉瀬伊織。 幼馴染の3人が偶然再会したことから過去の真実が浮かび上がってきます。

 

多様性重視と言われながらも「ルッキズム」が幅を利かせる時代で、葛藤を抱えて生きることの辛さも描かれます。

 

この作中作のストーリーだけでも十分面白いのですが、作中作には削除されたエピソードがあり、ラストでそれが明らかになります。

 

480ページにもわたる手の込んだストーリーで、「このミス」14位も納得のミステリでした。

 

唯一残念なのは、作中作自体の謎解きのインパクトが大きいので、ラストのどんでん返しがそれほど驚けなかったことかな。 でも面白かったですよ。