青崎有吾さんの作品は、5年ほど前に「体育館の殺人」を読みました。 ロジカルな本格ミステリを面白く読ませてくれましたが、もう一作読みたいと思っているうちに5年経ってしまいました(^^;)

 

今年になってブロ友さんの記事で「地雷グリコ」を知り、読んでみるとこれが本格ミステリ顔負けの知的興奮を味わえる凄いゲーム小説でビックリ!

 

 青崎作品をもっと読みたいと、本作を手に取りました。

 

青春は気まずさでできた密室だ――。 今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。 始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通じて、少しずつ変わってゆく――。


ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイム進行でまっすぐあなたにお届けする、五つの“青春密室劇"。 (BOOKデータベースより)

 

「早朝始発の殺風景」、「メロンソーダ・ファクトリー」、「夢の国には観覧車がない」、「捨て猫と兄弟喧嘩」、「三月四日、午後二時半の密室」という5編の短編と「エピローグ」で構成されていました。

 

それぞれの短編で、2人もしくは3人の高校生が、電車、ファミレス、観覧車、公園のレストハウス、同級生の部屋という密室に近い状況で会話を繰り広げます。

 

場面転換は無く、会話の中で謎が発生し、会話の中で謎解きがなされるというシンプルなストーリーながら、何気ない会話の中の小さな違和感が意外な事実につながってきて驚かされました。

 

第一話を除いて、それぞれの謎は高校生活の一コマで、たわいのないものなんですが、謎解きが相手への友情や思いやりにつながっていて、青春小説としての味わいも十分です。

 

少々深刻な事情がからんだ第一話のその後は、「エピローグ」で明らかにされ、すべての登場人物が登場することになります。

 

同じ高校生を描いていても「地雷グリコ」とはまったくタイプが異なる小説でした。

 

でも面白かった! 青崎作品はさらに読んでいきたいと思っています。