無情にも、車は流れ出し、どんどん家に近づく。


ひと泣きした私は、少し気持ちが落ち着いた。


落ち着いたというより、冷めた?覚めた?

私は彼が好き。
彼もきっと私が好きなはず。

なのに別れなきゃいけない。
彼の理由で。

こんな馬鹿な話、ある?
私はもう年が明けたら51だよ?
またマッチングアプリ始めるの?

今までのセフレ…いや、デート友達のことが頭をよぎる。

もう今年に入ってからブロックしてしまって連絡すらとってないけど、
きっと連絡すればまた会えるだろう。

セックスしてくれるだろう。

ここで降ろしてもらおうか。
いや、流石に家から遠すぎるか。

kenくんに迎えに来てもらおうか。
彼が出来たから会わない、と伝えた後も何度も連絡をしてきた彼。

彼なら喜んできてくれそう。
来てもらってどうするの?
彼氏と別れたから、ってセックスしてもらうの?
それが私のしたいことなの?

ジェットコースターのように、気持ちが上がったり下がったり。

彼を横目で見る。
表情は変わらない。
別れ話ができて、ホッとしてるのかな。

なんて思っていた。

私は、彼の本心に気づいていなかった。