”彼の涙。”②涙が止まらないまま、車を走らせる彼の背中をさすりながら、愛おしい気持ちでいっぱいになっていた。早く、この背中を抱いてあげたい。大丈夫だよ、って言ってあげたい。どれだけ、彼は我慢していたんだろう。私を突き放すようなことを言い続けていたのに。もういよいよお別れ、というところで堰を切ったように突然涙が止まらなくなった彼。私を本当に失う、と思ったからか、自分の不甲斐なさに、なのか。車はまもなく、ホテルに到着した。