涙が止まらないまま、車を走らせる彼の背中をさすりながら、愛おしい気持ちでいっぱいになっていた。

早く、この背中を抱いてあげたい。

大丈夫だよ、って言ってあげたい。


どれだけ、彼は我慢していたんだろう。

私を突き放すようなことを言い続けていたのに。

もういよいよお別れ、というところで堰を切ったように突然涙が止まらなくなった彼。


私を本当に失う、と思ったからか、

自分の不甲斐なさに、なのか。


車はまもなく、ホテルに到着した。