Hさんと最後にお会いしたのは、大学病院の集中治療室でした。

正直、大学病院に行く途中で医師から電話があり「緊急に親と連絡が取りたい。」と言われるし…。大学病院に着いたら、入院先が集中治療室だったし…。

まあ、これは尋常ではない…と思うのが当たり前です。

ところがHさんはケロッとされていて…。普通に喋っているんですよ。

で、私はHさんから携帯電話を取り上げようとして失敗するんですけど…。

(その時、ご両親は海外に行っていて、数日後に帰る予定だった。Hさんは、両親の旅行を邪魔したくなかったのかも知れません。)

Hさんは「父親の携帯電話番号を知らない。」と言い張ったんだよな…。


医師は、さすがに医師で…。その時に予後が分かっていたようです。

「これから肝性昏睡に入って行くと思われます。」

そして実際に肝性昏睡に陥ったそうですが…。

私がHさんと話をした時は、肝性昏睡に陥るとは思えなかったですね。

本当に普通だったから。

ただ、微妙に会話がおかしくて…。噛み合わなかった。

例えば、主治医が目の前にいるのに「主治医の先生は何処に行った? 主事の先生がが父の携帯電話番号を知っているんだけど。」とか言い出して…。

いや、主治医が分からないから、緊急に私を呼び出したんだって…。

(大学病院が親戚でもない私を集中治療室に入れたのは異例中の異例。普通なら門前払いだったのを入れたのは、緊急事態で、両親に連絡を取りたかったから。)