頭痛のするような電話がかかった。某社の社長からである。その内容とは・・・。「建設現場には労災は必要ない。」と言うたわごとであった。

 私は以前、社長にこう言った。「現場の労災保険をどうする気なのか。」と。この会社は元々、建設業ではなかった。最近になって、建設業の元請となり仕事をはじめたのである。私としては、他の事も気になったのだが、職業柄、まず労災の事を考えた。当然だが、労災保険料は元請が払わなければならない。 

 社長は、「そんなものは要らないはずだ。」と言い張った。労災保険は各社が払っている。だから元請が払わなくてもいいはずだ・・・という理論である。

 私は顧問社労士先生に電話をして、説得していただいた。(私は、助成金や労災事故を担当していたため。)1時間ほど話されたそうだが、とうとう納得しなかったらしい。

 そんなこんなで、この電話である。社長いわく「私の友人の保険屋が労災について調べてくれた。建設業では労災は各社が払っているのだから、元請には関係ないそうだ。民間に労災より安い保険があるそうだから、そっちに加入した。」

 何を考えてるんだか。民間に労災に変わる保険があるわけないだろう。もし、そんな保険があるのなら、労災が強制保険である意味がない。(おそらく、労災上乗せ保険を都合よく解釈したのだろうと思う。)

 もし現場で大事故があったらどうするんだろう。下請けは自社の労災を使えない。なぜなら、元請が労災責任を負うからである。

 今、顧問社労士先生とは、当該会社との契約を打ち切る事で話がまとまりつつある。労災についてプロたる社労士の言う事を信じないのなら、社労士に依頼する必要はないだろう。

 社会保険についても妙な事を言って来ていたから、ちょうどいい潮時かも知れない。