私は事務所に勤務した経験はない。また、会社では営業職であったため、事務経験もないに等しい。(36協定の提出等は私がやっていた。)

 また、私が開業したての時は受験校のつながりが、今よりも濃厚であった様に思う。私は、通信教育で合格した口であり、試験前は他の地方に住んでいた。ここまで受験校とのつながりがない人間も珍しかっただろう。

 開業後、私は長い間、疎外感を感じていた。社会保険労務士会の勉強会に行っても、孤独であった。少しずつは知り合いが増えて来たが、それでも仲間と言う感じはしなかった。

 その頃、ある社労士先生に「若い人は、私たちの仕事を盗もうとしている。」と言われたこともあって、社会保険労務士会に嫌気がさしていた。また、労働保険事務組合の件でも「私は、労働保険料を払ってもらって、その一部をピンはねするんですな。それでお金を儲けるんです。」と言うとんでもない発言も聞かされていた。私は、社会保険労務士という仕事を選ぶべきではなかったのではないか・・・と思いだしていた。

 そんな時、先生にお会いした。最初に驚いたのは、「いつでも相談に乗ってあげる。」と言われたことであった。私は、「若い人は、私たちの仕事を盗もうとしている。」という論調の話を聞いているだけに、社会保険労務士の中にも、こういう先生がおられるのか…と思った。

 これが先生との初めての出会いであった。

(以下、次号。)