憲法マニュアル講義の補遺 | 予備校派のための司法試験・予備試験塾 KLOライセンス

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仮に、経済的自由権が出た場合、目的二分論の対立の形で終始するのはやめましょう。

消極目的、積極目的という言葉自体を書くことは別に良いのですが、これらは基準定立の一要素に過ぎません。また、使うならそれらの場合、何故厳格な方向あるいは緩い方向に動くのかきちんと説明して下さい。
マニュアルで示した厳格度の上げ下げの他の事情も加味して下さい。

経済的自由が出た場合の違憲の主張における、権利の重要性の論じ方、審査基準を立てる際の考慮要素は薬局距離制限事件判決(最大判昭和50年4月30日)がとても参考になります。誰でも知ってる判例でふが、本番前に百選の当該判例をマニュアルも見ながら一読しておいて下さい。なお、基準はマニュアルにあるものを使えば良いです。特に権利の重要性について、「職業は、人が自己の生計を維持する継続的活動であるとともに、分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである。」との部分は、「職業」の部分を当該具体的(経済的)自由に置き換えればどのような経済的自由権にも通用しそうなくらいです。経済的自由の違憲の主張で厳格な基準を立てる際の参考になる記述だと思います。具体的な問題ではこれを、当該問題の具体的自由に置き換え、さらに自分の言葉や問題文の特殊事情を加味したりして書ければベストです。

財産権の場合も、二分論の是非といった対立構造にしたりして、財産権は多種多様だから…という私見の答案を作成するのはやめましょう。問題はそこではありません。
当該事案における具体的な財産的自由の重要性を述べ(これも上記判例のパターンで行けます)、マニュアルのパターンに乗せ、あてはめて下さい。

なお、念の為の確認ですが、どんな問題が出ても一番の勝負はあてはめです。基準を立てるところまではマニュアルで論じ方を用意できますがあてはめばかりはマニュアル化できません。
事実→評価→結論の形を守ることとしかいえません。
権利の認定部分の論述も現場でしっかり考えて下さい。自分なりに論じられればよいので。
そして、事実は全て使うつもりで、たっぷりあてはめてきて下さい。