平成24年度新司法試験出題予想 | 予備校派のための司法試験・予備試験塾 KLOライセンス

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幾人かの方から今年の新司法試験の出題予想を出して欲しいとの声があったので,この辺でひとつ予想しておきます。


この記事自体は昨年の10月くらいには作っていたのですが,


出題予想を早い時期にしても有害なだけなので記事の公表はしていませんでした。


まず,ヤマはあくまでも補充的な使い方にとどめてください。


全くヤマが当たらなくて苦手なところばかり出たとしても受かる実力を付けて本番に臨むのが望ましいです。


直前期までは,全範囲をしっかりと勉強してください。


予想は自己責任で活用してください。

ちなみに,私の予想は,①旧司新司の論点出題サイクル,②近時の重要判例,③新司の傾向等を総合考慮した勝手な予想にすぎません。


ただ,昨年ブログに掲載したものを今年用にブラッシュアッ プした部分もあるので,過去の記事からのコピペもあります。


最近,やっぱり自分は受験界の方が向いていると思っている毎日です。





1 選択科目・倒産法


 ・今年はとにもかくにも否認と相殺。

  「倒産判例インデックス」の否認と相殺の判例は一応全て目を通しておきたい。


  「趣旨・規範ハンドブック」にある否認と相殺の論点は全て書けるように。


 ・手続的問題は配当,免責が出る可能性が高いと見ている。


  配当,免責の条文操作ができるようにしておくこと。係属中の訴訟の帰趨を問う問題は良く出る(プレ,19,2  


1,23)が,奇数年に出ているので出るのは来年かもしれないが,50%の確率で出ているので当然できるよう 


に(過去問さえやっておけば大丈夫なはず。)。


 ・個人再生はそろそろ出るかも。


  条文操作,要件へのあてはめができるように(給与所得者再生,住宅資金貸付条項等)。




2 憲法

  憲法の出題については旧司の時代から一度出題されたテーマは5年以上は出ない傾向がある。

過去の新司で、まだメインで問われていないのは14、22、26条、19条。

旧司からのサイクルでそろそろ危ないのは22条、取材の自由、平等、政教分離原則。

19条はなかなか出しにくいのではないか、旧司でも私人間で問われた平成20くらいしか出題がない。

・経済的自由(旧司平22)

・政教分離

・平等

・取材の自由(旧司平21)

・財産権

の出題が予想される。

政教分離、平等(国籍法)は近時違憲判決もあるので注意。

 29条は,論証をしっかり用意しておかないと書けないので,違憲の主張・反論・私見をどう組み立てるかを予め用意しておいた方が良いと思う。

☆要注意の旧司過去問

・平22、21、19の第一問は練り直しがあり得る。

・昭和59-1(統治分野の公金支出、司法権の範囲に注意)。

・平10-1(目的手段審査の中で政教分離が問題になるパターン)

・平12-1(22か23か26か人権の認定が重要なパターン)


統治も1論点は必ずでるはず。委任立法、措置法、公の支配(公金支出)、租税法律主義等、これらが何らかの形で問われても全く不思議ではない。統治は人権と違って知識や論証を用意しておかないと何もかけないという事態がありうるからノーマークは危険。




3 行政法

 はっきりいって行政法は予想をしてもほとんど意味が無いのでやりません(憲法の人権もほとんど意味はないんですが。)。

 おそらく,半分くらいは訴訟選択や訴訟要件などの典型問題を出して,半分くらいはわけがわからないことを聞くというパターンになるのではないでしょうか。

 そこで,典型問題だけで個人的にあやしいと思っている部分だけ挙げておくと,

 ・処分性

 ・損害の認定

 です。

  処分性については,判例の規範からはあてはめがしにくい問題が出るでしょう。個人的には工藤北斗先生の処分性の論証をお勧めします。

  損害の認定は,定義をしっかり書いて,しっかり厚くあてはめて下さい。「重大な損害」や「償うことのできない損害」等です。




4 民法

  民法は,予想がほとんど当たらない科目です。旧司時代から,典型問題が出ることはなかなか無く,あまり考えたことが無い問題が必ず出ます。債権各論(委任・請負)と物権(対抗問題,抵当権)があやしいですが。

  平成23年新司法試験民法はほとんど旧司の問題に戻ったので,最近の旧司過去問(平成22~12くらいまで。無理なら最後5年分。)は潰しておくと良いです。


  勉強の仕方として,要件事実ばかり意識しすぎると,司法試験の民法で合格点がつきにくいと思います。後輩等の答案添削をしていると,やたら件事実を意識している答案は他の重要箇所を落としまくっている場合が多いです。特に要件事実好きのローの先生に教わった方は注意してください。昨年の出題を見る限りもはや司法試験の民法で要件事実は求められていません(短答ですら1問も出題が無かった。少なくとも合格するためには求められていない。)。要件事実の難しい話は研修所に行ってからでも十分です。問題研究要件事実13題を理解しておけば十分。




5 民訴

  民訴は,今年はど真ん中の論点が出るのではないでしょうか。

  弁論主義,処分権主義,既判力などです。
複雑訴訟では補助参加あたりでしょうか。

  ただ,民訴はど真ん中がテーマになるときほど難しい問題であることが多いので,現場で必死に考えてください。民訴も最近の旧司過去問をしっかりやっておくと良いです。特に平成21年の問題(ブログに模範答案有り)はそろそろ出題がありうると思います。




6 商法

  商法では,偶数年度(1年おき)に組織再編や機関についてよく問われる傾向にあります。

  今年は,取締役会,株主総会,組織再編から出るのではないでしょうか。

  特に,利益相反取引,取締役会決議の瑕疵,総会決議無効事由,合併無効等は危ないところです。

  他には,

  ・株主総会決議取消しの訴え

   違法自由として利益供与(モリテックス事件、蛇の目ミシン事件),その他手続的瑕疵にも注意

  ・募集株式発行・新株予約権発行の差止め

   ブルドックソース,募集株式の場合と新株予約権の場合の規範(主要目的ルール)の差異に注意(新株予     約権の割当には資金調達目的はもともと無い。)


  ※上記判例がそのまま問われることはないが,考え方は知っておくべき。

  ・会社総則から

   名板貸人の責任,表見支配人,これらと908条との関係




7 刑法

  刑法は詐欺罪と文書偽造を絡めた問題がでるのではないかと見ています。

  横領と背任も出題可能性高い。


  2項詐欺、2項強盗,贈収賄も危ない気がします。

  今年は各論チックな問題(新司平成21年型)が出る可能性が高いですが,総論では中止犯、共犯からの離脱、未遂の教唆等でしょうか。

☆要注意の旧司過去問は

平成7-2、12-2、15-2、21-2(全て偽造)→これらのパターンの偽造はいずれも処理できるようにしておくべきでしょう。

平成16年以降の過去問は全て要注意。(平成20-1、22-1,21-1はすでに新司で出題済みのため今年は要らないかも。)

最新判例では、最判平22.7.2。

  民事系では,「旧司過去問をやっておいて方が良い」のですが,刑事系は「やっておかなければならない」です。刑事系は旧司過去問の練り直しばかりですので旧司過去問をやっていれば120点は取れると思います。特に今年は旧司第2問(各論)の問題は意識的にやってください。


  横領と背任の部分は苦手にしている受験生が多いのでしっかり論証できるようにしておくべき。




8 刑訴

① 捜査

捜索、差押え中心。令状に基づく差押えの範囲,必要な処分,逮捕に伴う捜索差押え,必要な処分。

強制捜査と任意捜査、行政警察活動もなくはないが、難しいところもないし特に言うことはない。

刑訴は最も点を取りやすい科目なので,旧司と新司の過去問でしっかりと対策をすれば確実に取れます。


とりあえず、捜査が書けてない人の答案みると体系がごちゃごちゃなので,司法試験刑訴の捜査を書く時の検討のプロセスを紹介します(以下,過去記事のコピペ)。


☆捜査を頭の中で考えるとき


1-1 令状なき行為(対物的)の思考プロセス

 a司法警察活動かb行政警察活動か

  ↓

  a司法警察活動の場合→①強制捜査か②任意捜査か→①なら令状なければ違法、②なら任意捜査の限界(必要性、(緊急性)、相当性等)の話。

  b行政警察活動(交通検問、職務質問、所持品検査)の場合→任意捜査の考え(警察比例の原則)及ぶ→必要性、(緊急性)、相当性。

1-2 対人的処分

結局は上記①②が実質逮捕と任意同行の区別と名を変えるだけ。任意同行としても後に任意取り調べの限界が問題になる。


2 令状に基づく捜索差押え

①捜索「場所」「物」に令状の効力が及んでいるか(特に身体(ポケットの中)の捜索と携帯品(バッグ)の捜索を混同してる人、この二つは全く論じ方が違うから気をつけて。)


②差押え「対象物」かどうか(これが問題になるときは「その他本件に関係ありと思料される一切の物」にあたるかどうかの検討になることが多い)

③捜索差押え以外の付随的行為について「必要な処分」にあたるか。


3 逮捕に伴う捜索差押え

①「逮捕する場合」といえるか

②「逮捕の現場」といえるか

③物的範囲(関連物件+凶器)に含まれるか

④その他の行為につき「必要な処分」といえるか


(①~④の前提として,緊急処分説or相当説の論証を軽くする。後者で良いが,相当説を誤解している受験生が多いので不安な人はしっかり確認しておくこと。)


この1~3のパターンの考え方でだいたいの問題は書ける。もちろん,問題によってメインの箇所は違うのでどのトピックがメインで問われているのかを問題文の事実から判断して書く分量を調整しなければならない。




② 公判

   公判については、伝聞、訴因、自白法則、違法収集証拠がありうるトピック。

何が出されてもできるようになっていなければならないが。

ア 自白絡みについて

  まず、自白に関しては反復自白と補強法則に注意。ちなみに「証拠能力は認められるか。」と問われた場合は自白法則のみ書けば良い。

自白+補強法則が問われる場合は「有罪判決をすることができるか。orいかなる判決をすべきか。or有罪認定をする場合の問題点について論ぜよ。」という形で問われる。補強法則は証明力の問題だから証拠能力だけを問われた時に書くのは余事記載となる。

イ 訴因

大きく可否と要否の問題に分けられるが、要否だろう。クラッチペダルの判例注意。択一的認定、概括的認定など小問で問いやすい論点も注意。

可否は訴因変更よりも、公訴事実の同一性について一事不再理効とかの形で問われる可能性はある。

ウ 伝聞

伝聞は何が聞かれても出来て当然にしておかなければならないが、強いていえばそろそろ弾劾証拠は危ない。旧司平成20年度第二問は弾劾の良問なのでやっておくべき(ブログに模範答案有り)。

あと、テレビのインタビューを録画したビデオテープの証拠能力が問われた平成17か16の第二問。

今問われるとすれば動画のデータのコピーや音声データのコピーの証拠能力とかって形なのだろう。コピーの証拠能力の論証は忘れずに。

伝聞は旧司新司の過去問で全てのパターンが出尽くしている。

立証趣旨と要証事実については自分なりにさっさと適当に認定して書けば良い。上位答案みてもそんなむずかしいところで差がついてない。

司法試験で8ページ書こうと思ったら1つの論点を考える時間はせいぜい2~3分しかない。考えたフリをしてしれっと書くことが大事。

昨年の刑訴でも時間不足になった人は多いようであり,難しいところはサクっと終わらせて簡単なところをしっかり論じることが重要と思われる。


伝聞か非伝聞かで迷ったら,問題文の事実の量から逆算して結論を出しても良い。去年の例でいえば,メール1は明らかにあてはめに使う事実が多く,伝聞例外のあてはめをして欲しいというメッセージに見える。メール2は伝聞例外のあてはめに使える事実が少なく,非伝聞で良いというメッセージに見える(もちろん,こっちも伝聞でも良い)。メール1を非伝聞,2を伝聞という受験生の答案もいくつか見たが,そのような結論はいかにもセンスというかズルさがない。

 新司合格者の上位答案で伝聞の書き方のイメージをつかんでおきましょう。






あと1ヶ月半くらいになりましたが,本番までがんばってください。