2008年3月、ドイツツアー。メンバーはゲイリーのほか、ヴィック・マーティン(key)、ピート・レス(b)、サム・ケリー(ds)。この時点で次作に収録される新曲5曲を演奏。
5月、旧ソ連~欧州ツアーではブライアン・ダウニー(ds)が参加。
7月、モントルー・ジャズ・フェスティバルでジョン・メイオール&ブルーススレイカーズのステージにゲスト出演。
9月、17thソロ「Bad for You Baby」を発表。

この新作もこれまでと同じブルースかと思いきや、ロックやR&Bの要素の強いハードブルース路線となった。サム・ケリーが加わったドイツツアーのメンバーで録音された本作は、黒人カヴァー4曲、オリジナル7曲の構成で、ゲイリーはギブソン・レスポールとフェンダー・テレキャスターの2本のギターを音色の違いから使い分け、表現に工夫を加えている。ハードなピッキングでギターを鳴らす演奏を聴くと、やはりロックが根底にある人なのだろう。結果的にゲイリー最後のアルバムとなってしまうのだが、もしこの後も作品を発表し続けたとしても、自分流のブルースを極めていく道が続いていくのだろうとこの時は思っていた。
2009年3月から欧州ツアー。
2010年4月、21年ぶりの来日公演。ニール・カーター(key)、ダレン・ムーニイ(ds)、ジョナサン・ノイス(b)のメンバー。
7月6日、モントルー・ジャズ・フェスティバルに出演。この模様はライブ盤「Live at Montreux 2010」としてリリースされた。

久しぶりにハードロック時代の曲を気持ちよく演奏している。
注目は3曲の新曲をプレイしていること。この頃、アイリッシュ路線のロック・アルバムの構想があり、その新作用の曲のようだ。故郷アイルランドを想起させる見事なハードロックで、この路線での新作が聴きたかった!
2011年2月6日、休暇先のスペインで心臓発作により急逝。享年58歳。
突然亡くなったので、どう心の整理をつけたらよいか未だにわからないのだが、ゲイリーは最後まで新しいことに取り組もうとしていた。私もゲイリーの情熱的で感動的な演奏が好きで追いかけてきたのだが、新作を聴くことが出来ないのが残念で仕方がない。今後は秘蔵音源のリリースに期待したい。
(30)につづく
アルバム
34 Bad for You Baby(2008) ★★★
35 Essential Montreux(2009) ライヴBOX
36 Live at Montreux 2010(2011) ライブ盤
37 Legacy(2012) ベスト盤
38 Blues and Beyond(2017) BOX