独身時代、四年間という短い期間でしたが、習っていた先生のお人柄を思い出します。


最初の一年は、私の自宅に何人か生徒さんを集めて先生に出稽古をお願いしておりました。

母が少し体調を崩しましたので、後の三年間は、

私の職場の近くの百貨店での、先生の教室に通いました。


結婚式にも出て頂き、公私にわたり、お世話になった先生です。


先生は、戦争未亡人でした。わずかな新婚生活の

後、ご主人様は戦地で亡くなられました。


20代で未亡人になられ、ご子息を一人で育てられ、その礎になったのが、裏千家茶道でした。


ですから、先生は、自分の生きがいをもたらせてくれる茶道に、感謝の気持ちを強く抱かれて、後進の指導に当たられていました。


私は、若く、至らない生徒でしたが、結婚に際して、お免状や、お軸、色紙など、沢山の頂き物をしました。

その中の一つのお軸です。




私にいつまでも茶道を続け、いつか花開いてね!

というメッセージを感じます。


百貨店で真清水蔵六さんの添え釜をされた時も、

作品を購入され、点て出しの私達に下さったの

です。


先生は、儲けようとか、偉くなりたいとかにはご興味がなく、自他を大切に思われ、若い人には、茶道を習ってくれて嬉しいわ。ありがとう。というような心持ちの先生でした。


いかんせん、そういうお人柄ですから、周りが自然と支部長をお願いしますとなるわけです。


遠くへ嫁ぎ、先生に教えをこう時間がなくなり、大変残念な事でした。


今、私が、茶道を学ぶ上で、偉大な師との出会いが礎になっています。

都会の先生は、競争や少ないパイを獲得する為、

少し心が折れそうになる事があります。


でも、茶道は、いつもそこにあります。

私は、いつまでも、茶道を続けていきたいと思っています。