最近、まともな仕事を与えられていない社内失業者を集めた「追い出し部屋」が問題となっています。
追い出し部屋とは、社員を仕事が与えられなかったり単純労働をさせられる部署に異動させ、自主退職を選ばざるを得なくなるようにする部屋のことをいいます。
追い出し部屋が話題となった企業の一部をご紹介します。
【追い出し部屋があると思われる企業】
・パナソニック
・シャープ
・ソニー
・朝日生命
・NEC
・ノエビア
・ミクシイ など
現在、正社員を解雇する時は「整理解雇の四要件」を満たさないといけません。
【整理解雇の四要件】
・人員整理の必要性
余剰人員の整理解雇を行うには、削減しなければ経営を維持できない状況でないと解雇できない。
・解雇回避努力義務の遂行
人員整理は最終選択手段である。役員報酬の削減、新卒採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向などの経営努力がなされたあとに着手する必要がある。
・被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
・手続きの妥当性
整理解雇については、説明、協議、納得をえるための手順を踏まないと無効とされる。
追い出し部屋は、「解雇回避努力義務の遂行」の配置転換に当てはまります。
配置転換は、長期雇用のもとで業務量の変動に伴う労働需要の変動に対処するために、またそのための従業員の能力開発を行うために行われます。
配置転換は、基本的に雇用主に権限があります。
ただし、看護師などの専門職の場合、専門知識が発揮されない部署への配置転換は、社員としても拒否できる可能性があります。
日本で働く社員のほとんどが総合職として採用されているでしょう。その場合、配置転換を拒否できない可能性があります。
配置転換が無効となった裁判例としては、「業務上の必要性がない」、「不当な動機・目的がある」、「不利益が大きい」があります。
不当な配置転換と思われる「追い出し部屋」を設置する会社の経営状態は、良くないでしょう。
仮に「追い出し部屋」に配属となった場合、社会保険労務士やキャリアコンサルタントに相談してみるのも良いかもしれません。
厚生労働省は、パナソニックなど追い出し部屋の実態調査に乗り出しています。
今後の政府の対応と企業の動向に注目です。