日本的経営 終身雇用 | キャリアコンサルタント福井祐平の『What's人財』

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日本的経営の一つに終身雇用があります。



終身雇用制度とは、学校を卒業した人が、新卒で入社した会社に定年まで雇用され続ける慣行になります。これは正社員にのみ適用されています。長期雇用慣行ともいわれています。



終身雇用は1900年代ごろ、当時の熟練工の5年以上の就業者が1割と転職率が高く、足止め策として定期昇給制度や退職金制度、年功序列制度を導入した雇用制度を築いたのが起源と言われています。



終身雇用制度のメリットとデメリットは、主に以下のようなものがあります。


<終身雇用制度のメリット>
・目先にとらわれず時間をかけて仕事の成果を上げることができる。
・従業員の意欲や企業風土を高く維持することができる。
・安定的な収入が、従業員の心理的な安心感になる。
・経営目線で、長期的な展望で人材育成への投資が行いやすい。
・離職率を下げることによる教育費用、採用費用をおさえられる。


<終身雇用のデメリット>
・適切な人員配置の妨げになっている。
・労働力の調整のため、転勤や出向が生じる。ちなみに欧米では、ほぼ実施されていない。
・雇用者側の力が強く、長時間残業の原因となっている。
・女性は、出産、育児で休暇期間が発生するため、補助的な仕事しか与えられない。



現在では、多くの企業が人件費と過剰雇用に直面しており、雇用の調整が大きな経営課題となっています。これに対して、一度雇用した正社員を解雇する際は、解雇乱用権(労働基準法第18条の2)のリスクを抱えています。



日本特有の雇用調整プロセスとして、残業の規制、配置転換や出向、早期退職制度、契約更新中止、派遣切り、新規採用の中止などの方法が取られています。退職金制度がない会社も増えてきました。



一方、神田に本社を置く大手金属商社では、中途採用は一切しておらず、福利厚生についても退職金制度、財形貯蓄制度、各種社会保険制度を完備し、社員の将来に対する不安の解消に努めています。また社長の方針として、社員と会社、社員と家族を繋ぐ太い絆と感謝の気持ちを込めて、今でも毎月の給与を上司から直接本人に手渡しをされています。このように、まだまだ終身雇用制度を実践している企業もあります。



終身雇用制度が慣行している企業で働くには、配置転換への対応や社員同士のコミュニケーションなど、柔軟な環境の適応力が必要になってくるでしょう。

福井祐平



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