【論文紹介】北海道への南方系魚種の輸送経路として黒潮続流による輸送の可能性 | ウッカリカサゴのブログ

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日本産魚類の仔稚魚のスケッチや標本写真、分類・同定等に関する文献情報、
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根来晃佑・宗原弘幸 (2024). 記録的猛暑の2023年に北海道函館市臼尻からSCUBA潜水によって採集された北限記録13種を含む初記録14種の魚類. Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 44: 1–25.
https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/ichthy/INHFJ_2024_044_001.pdf

 

北海道函館市臼尻町沿岸で得られた14種の魚類はいずれも臼尻からの初記録で,ウラナイカジカを除く13種は北限記録であることが明らかとなった。

ウラナイカジカ科:ウラナイカジカ
テンジクダイ科:ネンブツダイ
フエダイ科:ベンガルフエダイ
チョウチョウウオ科:ムレハタタテダイミゾレチョウチョウウオ
ヒメジ科:ホウライヒメジオジサン
コケギンポ科:アライソコケギンポ
ニザダイ科:テングハギテングハギモドキヒラニザナガニザニセカンランハギ
モンガラカワハギ科:メガネハギ

臼尻町沿岸域には、親潮系水と津軽暖流水が季節的に流れ込み、臼尻の魚類相は北方種と南方種の両要素から構成される。

これまで後者の北海道への輸送経路として,太平洋側の黒潮続流の経路はこれまでほとんど検討されなかったが,黒潮続流の北偏が継続すれば,より多くの南方系魚種が北海道に輸送されることが予想されるとのこと。