「日本産魚類検索全種の同定 第三版」の種名リスト作成:追記あり | ウッカリカサゴのブログ

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日本産魚類の仔稚魚のスケッチや標本写真、分類・同定等に関する文献情報、
趣味の沖釣り・油画などについての雑録です。


「中坊,編 (2013) 日本産魚類検索 全種の同定 第三版」に基づく日本産魚類全種(凡例では4210種類,4180種と記載されている)の種名リスト(命名者を除く)を Excel で作成中。完成に近づきつつある。

並び順は,それぞれの科内で,亜科名,族名,属名,種小名(学名)についてアルファベット順にしてある。

同書第二版(2000, 2002)の種名リスト(3888種)を併記したシートも載せ,第二版から第三版にいたる変更履歴(分類体系や属名,種小名,標準和名等の変更)も分かるようにした。

2000年以降に削除,分割,統合された種など,古い文献・資料・データベースに出てくる種名を調べる際に有用かもしれない。

Excel シートは書物に比べて一覧性に優れており,日本産魚類相の全体像がより簡単に見渡せる。
我が国周辺には,ヨウジウオ科魚類が54種(ヨウジウオ亜科:43種,タツノオトシゴ亜科:11種)も分布していることに改めて驚いた。

科レベルでの属構成や同属内の種数・種名を表形式で見て理解することは,魚の名前を覚えるうえでも有効と思われる(その際は図鑑でカラー写真で確認しながらすることがよいことはいうまでもない)。

デジタルデータなので使いみち(応用範囲)は広いと思う。
骨格ができたので,どのように肉付けするかは,いろいろ考えられる。

例えば卵・稚仔の分類・同定関係では,
 ・形態記載のチェックリスト
 ・計数形質データ表
を作成する際の基本的データベースになる。

計数形質データ表を作成(第二版に基づく現存ファイルを更新)すれば,不明稚魚の検索(候補種の絞り込み)も可能となる。

環境アセスメントでの「卵・稚仔」や「魚等の遊泳動物」での出現種リストを作成する際の並び順のデータベースにもなる。

並び替えをすることで,いろいろ面白いことが分かる。例えば,同じ種小名(japonicus など)をもつ種や,標準和名で同じ接頭辞(アカ,ヒメ,ミナミなど)をもつ種がどれだけあり,また,どのようなものがあるか等,書物の索引をみるよりも簡単に分かる。

ちなみに,「日本にちなんだ種小名を持つ種数は,japonicus: 59 種,japonica: 28 種,japonicum: 7 種,japanensis: 1 種,niphonia: 1種,niphonius: 1種,nippon: 1種,nipponensis: 3種,nipponicus: 1種である。

第三版では359科に属する4210種類(4180種)となっているが,今回作ったファイルではどういう訳か1種類多い。どこかにミスがあるのか,カウント方法の違いによるのか現在不明(→解決済 11/24)。

今後,リストに誤りがないかチェックしたうえで,日本魚類学会のHPにある「日本産追加種リスト」,「シノニム・学名の変更」の内容を反映させ,半年に1回位の頻度で更新しつつ,一般公開あるいは限定公開することを検討したい。

参考:
●書評 松浦啓一(2014)日本産魚類検索全種の同定 第三版. 魚類学雑誌,61(2):114-117. 

●日本魚類学会のHP(シノニム・学名の変更)から
“松浦(2014)が言及した標準和名があるが,学名が付いていない「名無しの権兵衛」の種のリスト

追加:
p.331 タンゴスジシマドジョウ  Cobitis sp.
p.723 ボウズカナガシラ  Lepidotrigla sp.
p.984 リュウキュウハタンポ  Pempheris sp.
p.1415 ホホベニサラサハゼ  Amblygobius sp.
p.1747 ウシマンボウ  Mola sp. A
p.1747 マンボウ  Mola sp. B

●日本分類学会連合(2003) 第1回日本産生物種数調査
http://www.ujssb.org/biospnum/search.php

「日本産魚類リスト(MS_Excellファイル605KB)」
種数データは2002年12月31日時点のもの
→スペルミスや大文字,小文字ミスなど,いくつかあるので要注意(12/3追記)